文部科学省は公立高校入試において、現行の「単願制」を見直し、複数校の志望が可能な「デジタル併願制」の導入を検討する。22日、石破茂首相がデジタル行財政改革会議で、文科省とデジタル庁に対し、制度導入の可能性を探るよう指示した。
デジタル併願制は、生徒が志望順位を登録し、入試得点や内申点、面接などの結果をもとにデジタル技術を用いたアルゴリズムで合格先を自動的に割り振る仕組み。従来の単願制では、公立に落ちた場合の私立進学にかかる経済的負担から、受験生が志望校のランクを下げる傾向が課題とされてきた。
制度導入により、こうした課題の解消が期待される一方、文科省幹部は「生徒や学校の序列化を助長しかねない」と懸念を示した。また、偏差値偏重の進路選択が進む可能性も指摘されている。
一方で、複数校受験を可能とする制度はすでに愛知県や福岡県など一部自治体で導入済み。政府は2025年度に公立・私立高校の授業料支援の所得制限撤廃を予定しており、2026年度からは私立高校への支援も拡充される。これに伴い、公立校の競争力維持を図る狙いもある。
今後、文科省はデジタル庁と連携し、制度導入の是非や詳細な設計、地域による適用可否について慎重に議論を進める方針。
