市民団体「むくげの会」が記憶継承の場を企画
1923年の関東大震災時に埼玉県寄居町で虐殺された朝鮮人青年、具学永(ク・ハギョン)さんを追悼する式典が6日午前11時、正樹院で営まれた。本堂が満席の場合でも参拝できるよう配慮され、参加費は無料、定員40人。主催は市民団体「むくげの会」で、代表は木島修氏だ。
午後1時半からは寄居町中央公民館で「むくげの会・学ぶつどい」も開かれた。事前申込制で、木島氏は「慰霊したいという思いから始めた」と語り、地域に残る悲劇を次世代へ伝える意義を強調した。
震災直後、寄居町でも「朝鮮人暴動」という虚偽情報が広まり、警察に保護されていた具学永さん(当時28歳)が自警団に引きずり出され、撲殺される事件が起きた。これを記憶に刻むため「むくげの会」はフィールドワークを実施し、事件現場や関係者の墓所を巡る試みを続けている。
追悼式には約50人が参列。僧侶の読経のもと焼香が行われ、「感天愁雨信士霊位」と刻まれた新しい位牌が本堂に安置された。木島氏は「負の歴史もきちんと語り継ぐ必要がある」と改めて語り、市民らは「地域に刻まれた歴史の重さを実感した」と話した。
