都市観光から温泉、地方の食文化まで 旅の選択肢の広さが強み
日本旅行の魅力は、食、自然、歴史、買い物といった多様な楽しみを、一度の滞在で組み合わせられる点にある。東京や大阪で都市のにぎわいに触れ、地方では温泉や伝統的な街並みを楽しむ。訪れる地域や季節を変えることで異なる体験ができることも、繰り返し訪日する理由につながる。
日本政府観光局(JNTO)が10月21日に発表した推計によると、2026年9月の訪日外客数は310万3700人だった。前年同月比では5.0%減となったものの、1~9月の累計は3000万人を超えた。韓国や台湾、シンガポールなど7市場では、9月として過去最高を記録した。市場による違いはあるが、日本への旅行需要は引き続き大きい。jnto.go.jp
旅行の楽しみとして欠かせないのが、食の選択肢の豊富さだ。すしや天ぷら、和牛だけでなく、ラーメン、そば、お好み焼きなど、地域に根付いた料理が各地にある。専門店で一品を味わう旅も、市場や商店街で食べ歩く旅もできる。高級料理から日常的な外食まで、予算や好みに応じて選べる幅が広い。
地域ごとの違いも、旅行の目的を増やしている。北海道の海産物、香川のうどん、福岡のラーメンなど、料理そのものが訪問先を決めるきっかけになる。同じ都市でも、朝の喫茶店、昼の食堂、夜の居酒屋と、時間帯によって異なる食文化に触れられる。
四季による風景の変化も、日本旅行を特徴付ける。春の桜、夏の祭り、秋の紅葉、冬の雪景色と、同じ場所でも訪れる時期によって表情が変わる。花を眺める、雪の中で温泉に入る、季節の食材を味わうといった体験を、旅程に取り入れられる。
都市と地方で楽しみ方を変えられる点も大きい。東京では美術館や商業施設、京都や奈良では寺社や歴史的な街並み、地方の温泉地では宿で過ごす時間が旅の中心になる。短期間の都市滞在から、複数の地域を巡る長期旅行まで、日程に合わせて旅を組み立てやすい。
鉄道や地下鉄、新幹線などの交通網は、こうした周遊を支える基盤だ。主要都市の間を鉄道で移動し、都市部では公共交通を使って観光地を巡ることができる。一方、地方では運行本数が少ない地域もあり、訪問先に応じた移動手段の確認が必要になる。
アニメや漫画、ゲームも、日本を訪れる目的の一つになる。作品ゆかりの土地を巡る旅や、関連展示、専門店での買い物など、関心を実際の訪問につなげられる。伝統文化と現代の大衆文化が共存し、世代や趣味によって異なる入口がある。
韓国からの旅行では、地理的な近さも利点となる。週末や短い休暇を使った訪問が可能で、初回は東京や大阪、次回は九州や北海道と、目的地を変えながら旅行を重ねられる。買い物を中心にする旅、温泉で休む旅、地域の料理を味わう旅など、滞在目的も選びやすい。
ただし、人気の高さを、そのまま旅行費用の安さと結び付けることはできない。実際の負担は為替や航空運賃、宿泊料金、訪問時期によって変わる。JNTOは2026年9月の訪日客数について、中東情勢に伴う航空券価格の上昇や減便、台風による欠航などが影響したと説明している。
日本旅行の強みは、一つの名所だけに依存しない体験の幅にある。食事や街歩きといった身近な行動から、歴史、自然、作品の世界に触れる旅まで、それぞれの関心に沿った過ごし方ができる。地域と季節を変えるたびに新しい目的を見つけられることが、日本を繰り返し訪れる楽しみを生んでいる。
