デジタル革命が加速する時代において、教師の役割も急速に変化しています。もはや教師は教科書の内容を伝えるだけの存在ではありません。教師は、デジタル世代とのギャップを埋め、未来に必要なスキルを身につける手助けをする重要なガイドとなるべきです。今年4月、私は千葉県にある秀明大学で社会科教諭を目指す2年生24名の学生たちに対してこの新しい教師の役割を強調し、思い切った提案をしました。「皆さん全員、この授業を通じてユーチューバーになります。」
この言葉を聞いた学生たちは、当初戸惑い、信じがたい表情を見せました。新しく赴任してきた先生が一体何を言っているのか、と不思議そうな顔をしていたのを今でも覚えています。しかし、私はこれが必然だと信じていました。彼らが将来教えることになる世代は「映像世代」です。情報や知識をテキストではなく、映像を通して学び、コミュニケーションすることが日常になっています。彼らと効果的にコミュニケーションを取るためには、教師も映像コンテンツの制作スキルを身につけなければならないと考えました。単にユーチューブチャンネルを作って動画を投稿するだけではなく、コンテンツを企画し、撮影し、編集し、データを分析するプロセス全体が、これからの教師にとって重要なスキルになるのです。
結果的に、1学期が終わる頃には、私の学生たちは全員がユーチューバーとなっていました。初めは動画制作に不安を感じていた学生たちも、今では自分でコンテンツを企画し、編集し、分析できるようになりました。彼らは単なる映像の消費者から、積極的なコンテンツクリエイターへと変わりました。この経験を通じて、学生たちは社会科教諭として、映像メディアを活用した新しい教育の形を自然と学んでいったのです。
しかし、ここで変化が終わるわけではありません。10月から始まった新しい学期では、AI(人工知能)を積極的に活用していく予定です。AIはすでに私たちの社会のあらゆる場所で重要な役割を果たしており、教育分野でも例外ではありません。今学期は、学生たちがGammaなどのAIツールを活用して発表資料を作成し、さらには社会科教育のコンテンツをより創造的で面白く制作する方法を学んでいく予定です。AIは単なる情報提供のツールではなく、教師や学生が望む成果物をより効率的に制作できる強力なツールです。大切なのは、AIに依存せず、それを適切に活用するスキルを養うことです。
教師として、AIを理解し活用する能力を持つことはもはや選択肢ではなく、必須のスキルとなっています。未来の学生たちはますますデジタル化された環境で学ぶことになり、教師もその変化に適応しなければなりません。日本の教育現場では、まだAIのような革新的な技術を積極的に導入する動きが少ないですが、これからはこの変化を受け入れ、対応しなければ、学生たちは将来の社会で苦労することになるでしょう。
デジタル時代における教育は、もはや一方通行の知識の伝達ではなく、学生たちが自ら問題を解決し、創造的に考えることをサポートするものです。そのためには、教師自身が常に学び、新しい技術や教育手法を取り入れる姿勢が求められています。AIを理解し、それを授業に活用できる教師こそが、学生たちに真の意味で価値ある教育を提供することができるのです。
未来の教育において、教師の変化は不可欠です。ユーチューバーであり、AI専門家でもある教師は、デジタル世代と効果的にコミュニケーションを取り、学生たちが直面する複雑な世界で主体的に活躍できるようにサポートする重要な役割を果たします。日本でもこのような変化が広がり、多くの教師が新しい教育手法と技術を受け入れ、学生たちにより良い教育を提供できることを期待しています。
結局、未来の教育は教師の手にかかっています。 AIのような技術を理解し、創造的に活用できる教師こそが、学生たちに必要なスキルを身につけさせることができるでしょう。これは単に新しい技術を学ぶだけではなく、教師としての必須の能力となっているのです。
ソン ウォンソ(Ph.D.)
秀明大学学校教師学部 専任講師
