日本スポーツ協会(JSPO)の有識者会議が10日、国民スポーツ大会(国スポ、旧・国民体育大会)の開催自治体の負担を軽減するため、競技施設の基準緩和や競技ごとの分散開催を柱とする改革案をまとめることが分かった。大会運営の柔軟化と持続可能性の向上を目的としており、関係者によると今後の大会運営に大きな影響を与える可能性がある。
現行の国スポは都道府県対抗形式で毎年開催され、開催自治体には大規模な施設整備や運営負担が課せられている。改革案では、開閉会式の会場収容人数3万人規模などとする基準の見直しを検討。さらに、複数の都道府県での広域開催や、特定競技を決まった会場で継続的に開催する「聖地化」も提案する。
また、大会期間についても見直しを進める。本大会は11日間以内、冬季大会は5日間以内とする現行ルールを維持しながら、競技ごとに時期を柔軟に設定し、トップアスリートの参加促進や経済効果の向上を図る方針だ。加えて、運営合理化や地域活性化のための新組織設立、財源確保策として入場料の徴収、企業協賛、スポーツ振興くじの助成活用なども求める。
JSPOは有識者会議の提言を受け、具体的な改革案の策定を進める方針。今回の改革案は、各都道府県の持ち回り開催が3巡目に入る2036年以降の大会を主な対象とするが、一部の施策は前倒しして適用することも検討されている。
