先日、ワシントンD.C.への出張中に、大学時代の友人と再会する機会があった。彼女はかつて反米デモに積極的に参加していた人物でしたが、今やアメリカに移住し、ハラールフードのレストランを経営している。韓国ではハラールフードがほとんど馴染みのないものであった彼女が、異国の地でこの新しい食文化に挑戦している姿に驚きを覚えた。
ところが、さらに驚くべき出来事が待っていた。友人宅で歓迎のために振る舞われた韓国料理の中に、特に美味しいキムチがあったのだ。韓国から取り寄せたものだろうと思い尋ねてみると、意外にもそれは友人のレストランで働くホンジュラス出身のスタッフがアメリカの材料で作ったものだった。異国の地で生まれたこのキムチの味は、韓国のものに負けず劣らないもので、私はそのキムチを日本にまで持ち帰るほど気に入った。
この経験を通じて、今の時代がどれほどボーダーレスであるかを実感した。友人が運営するレストランでは、キムチのほかにもキンパ(韓国の巻き寿司)が提供されており、同じホンジュラス出身のスタッフが見事に巻き上げている姿が見られた。ハラールフード、キムチ、キンパが共存するこの光景は、かつては想像もできなかった文化の融合を象徴している。
こうした現象は、東京でもよく見られる。たとえば、東京のコリアタウンでは、ホットクやトッポッキを提供する店員がネパールやインド出身であることが珍しくない。韓国料理店で働く人々の国籍や肌の色はさまざまで、彼らが韓国料理を提供することが当たり前になってきている。
こうして世界中で食文化の垣根が取り払われる中、私たちに求められるのは「柔軟な思考」である。もはや特定の文化や料理が一国の専売特許ではなくなり、グローバルな視点で多様性を受け入れる必要がある。
今回の経験を通じて、今後も予期せぬ文化の融合が増えていくだろうと感じた。この変化の激しい時代に、私たちは固定観念を捨て、柔軟な思考で新しい世界を受け入れる準備をすることが大切である。それは、個々人の成長のみならず、異文化共存を支えるグローバル社会の発展にもつながるものと信じている。
ソン ウォンソ (Ph.D.)
秀明大学学校教師学部専任講師
