韓国大統領弾劾案採決控え緊張高まる、与党の結束に注目

12月7日夜に予定されている韓国国会での尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対する弾劾訴追案採決を巡り、与野党間の緊張が一段と高まっている。野党は弾劾案の可決を目指し攻勢を強める一方、与党「国民の力」は党内の結束を維持し、必ず否決に持ち込む構えを見せている。

与党の造反阻止が最大の焦点

与党「国民の力」(108議席)は、野党と無所属議員計192人に8人以上の造反が出れば、可決に必要な3分の2(200票以上)の条件を満たす可能性がある状況だ。同党の秋慶鎬(チュ・ギョンホ)院内代表は「必ず否決させる」と断言し、党内の結束維持を図っている。

しかし、与党内には尹氏に批判的な声も少なくない。例えば、4日未明に可決された戒厳令解除要求決議においては、与党議員18人が賛成票を投じている。これは、弾劾案採決時にも造反が出る可能性を示唆するものだ。

与党の分裂リスクと韓東勲代表の懸念

与党内で弾劾阻止への動きが強まる背景には、2016年に朴槿恵(パク・クネ)大統領弾劾時の苦い記憶がある。当時、与党の分裂が原因で政権を失い、野党に転落した経験が今回の危機感を高めている。

また、次期大統領選の有力候補とされる韓東勲(ハン・ドンフン)代表は、選挙が前倒しとなった場合に最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表に敗北する可能性を懸念している。こうした状況が、韓氏が弾劾阻止に尽力する理由とみられている。

無記名投票が与党にとっての懸念材料

さらに、無記名投票で行われる弾劾案採決が与党にとっての懸念材料となっている。過去の特別検察官制度導入法案の採決では与党内から4票の造反が出ており、今回も同様の事態が起きる可能性が指摘されている。

世論調査会社「リアルメーター」によると、尹氏の弾劾に賛成する国民は73.6%に達している。この世論の動向が与党議員の判断に影響を与える可能性も否定できない。

予断を許さない弾劾案採決

尹氏に対する弾劾訴追案の行方は与党の結束次第で大きく変わる。国会での採決が近づく中、韓国政局は一層不透明感を増している。

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