AGU 2024 Fall Meeting:Honors CeremonyとBanquetが与える特別な価値

ソン ウォンソ(秀明大学専任講師)

AGU(アメリカ地球物理学連合)Fall Meetingは、地球科学や宇宙科学の研究者にとって一大イベントだ。毎年世界中から数万人が集まり、研究成果を発表し、交流を深める場となる。しかし、この学会の真の魅力は単なるセッションや発表にとどまらない。AGUを象徴するイベントであるHonors CeremonyとHonors Banquetは、科学者としての道を歩む上で特別な経験と深い感動を与えてくれる。

Honors Ceremonyは、AGUが地球科学や宇宙科学の発展に貢献した研究者やチームを表彰する場で、今年もUnion Medals, Awards, and Prizes(43名)、Union Fellows(54名)、Section Awards and Lectures(82名)、Scholarships and Grants(184名)という多岐にわたる賞が授与され、多くの功績が称えられた。

特に注目されたのは、AGUで最も名誉ある賞とされるWilliam Bowie Medalである。この賞は、初代AGU会長であるウィリアム・ボウイの名前を冠し、1939年に創設された。科学的な業績だけでなく、研究コミュニティにおける献身的な協力精神を評価する点で特別な意味を持つ。

今年の受賞者はハーバード大学のMichael B. McElroy教授だった。彼は環境研究の第一人者であり、中国との20年以上にわたる国際的な共同研究を主導する「ハーバード-中国プロジェクト」の中心人物だ。彼の業績は単なる科学的発見にとどまらず、環境政策や社会的変革にも大きな影響を与えてきた。

今年のWilliam Bowie Medal受賞者であるハーバード大学のMichael B. McElroy教授(写真:ソン ウォンソ)

Honors Ceremonyでは、こうした受賞者の話を通じて、科学の持つ力とその社会的な意義を改めて感じることができた。AGU会長のリサ・J・グロムリック氏と次期会長のブランドン・ジョンズ氏は、「受賞者たちは科学の未来を象徴する存在であり、その業績は次世代にも大きな影響を与えるだろう」と述べ、彼らの貢献を高く評価した。

AGU会長のリサ・J・グロムリック氏(左)と次期会長のブランドン・ジョンズ氏(右)

Honors Ceremonyが科学的な功績を公式に称える場である一方、Honors Banquetは、研究者同士がリラックスして交流を深めるための特別な時間だ。この夜は普段のカジュアルな学会とは異なり、参加者は正装をまとい、華やかな雰囲気に包まれる。各テーブルには受賞者やFellowが配置され、参加者は直接彼らと話をする機会を得られる。今年私は米国の大学で大活躍している中国系のFellowと同席し、彼の研究哲学やこれまでの経験について貴重な話を聞くことができた。見知らぬ国で絶え間ない努力と挑戦を続けてきた彼の話に大いに共感した。

今年のAGU Honors Banquetには1000人以上が参加した.
AGU Honors Banquetで提供されるフルコースディナー

また、Banquetのハイライトは食事後のライブバンドによる演奏だ。70年代のヒット曲から最新のポップソングまで幅広いジャンルの音楽が流れる中、多くの参加者がステージ前に集まり踊り始めた。この自由で楽しい空間は、研究という厳格な日常を一時的に忘れ、参加者が人間的な繋がりを築く貴重な機会となった。

AGU Honors Banquetで公演を行うライブバンド

Honors CeremonyとBanquetは単なる表彰式や夕食会ではない。それぞれが、科学の発展と研究コミュニティの絆を深めるための重要な役割を果たしている。Ceremonyは科学者たちの努力と成果を正式に称え、Banquetは人と人が繋がることで新たなインスピレーションを得る場を提供する。

私はHonors Ceremonyで受賞者の話を聞きながら、自分の研究活動を振り返る良い機会を得た。そして、Banquetでは普段出会うことのない研究者たちと交流し、新しい視点やアイデアを得ることができた。

AGU Fall Meetingに参加するなら、Honors CeremonyとBanquetには必ず足を運んでほしい。これらのイベントは科学者としての道を深めるだけでなく、研究コミュニティの一員としての意識を高める貴重な体験を提供してくれる。

Banquet会場でAGU役員とFellow

ソン ウォンソ (Ph.D.)
秀明大学学校教師学部 専任講師
AGU Leadership development/Governance 委員会委員
JpGU グローバル戦略委員会幹事

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