外国人急増で京都観光地図に変化 「隠れスポット」に日本人客が分散

京都市では観光客の急増によるオーバーツーリズムが課題となる中、主要観光地を訪れる外国人客が増加する一方で、日本人観光客が減少していることが分かった。京都市が実施した調査によると、伏見稲荷大社などの主要観光地では外国人客が前年比約30%増となる一方、日本人客は15%ほど減少した。ただ、主要観光地以外のエリアでは日本人客の増加が見られ、市は「観光分散化の成果」と分析している。

主要観光地で外国人増、日本人減少

市は観光課題への対応策の一環として、令和6年11月1日~12月15日の期間に、携帯電話の位置情報データなどを活用して主要観光地周辺の訪問者数を集計。前年同期(令和5年11月3日~12月17日)と比較した。日本人客のデータはKDDIが保有する情報を、外国人客のデータはスマートフォンアプリの収集データを利用した。

調査によると、伏見稲荷大社周辺では外国人客が前年同期比46%増となる一方、日本人客は23%減少。北野天満宮では外国人客が42%増に対し、日本人客は42%減となった。この傾向は錦市場などでも確認され、外国人観光客の大幅な増加が日本人観光客の減少と対照的な結果となった。

「隠れスポット」への分散進む

一方、市は観光分散化の状況も検証。日本人客のデータのみだが、市北西部の京北エリアでは前年比59%増。伏見、山科、西京の各周辺エリアでも2割以上増加し、日本人観光客が中心部から離れたエリアへと移動する傾向が明らかになった。

市観光MICE推進室の担当者は「位置情報による分析のため、詳細な統計とは言えないが、日本人客の中心部離れは確かに認められる」と指摘。日本人のリピーターが定番スポットを避け、混雑の少ない「隠れスポット」へ足を運ぶ傾向が強まっているとみられ、市は今後も観光の分散化を推進していく方針だ。

AI活用でオーバーツーリズム対策へ

オーバーツーリズムの問題解決に向け、AI技術を活用する研究も進められている。昨年、国内のAI研究者が中心となり「オーバーツーリズム研究会」が発足。人流データの収集・分析を進め、産官学が連携して新たな対策を模索している。

研究会を主導するのは、元人工知能学会会長で京都橘大学の松原仁教授(人工知能)。松原教授は昨年4月の京都赴任後、観光公害の深刻さを目の当たりにし、AIを活用した解決策を探るため研究会を立ち上げた。今後、データ分析を通じて効果的な観光分散の手法を提案し、持続可能な観光の実現を目指すとしている。

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