「からあげブーム」がピークを過ぎ、多くの専門店が閉店を余儀なくされるなか、外食チェーン「かつや」の姉妹ブランド「からやま」だけが着実に成長を続けている。その理由とは何か。
■ 急成長から一転、閉店ラッシュのからあげ業界
「日本唐揚協会」の発表によると、2022年4月時点で全国のからあげ専門店は推定4379店舗。2012年の約10倍に増加したが、その後は閉店が相次いでいる。
東京商工リサーチの調査でも、からあげ専門店を運営する企業は2017年の109社から2021年には235社へと倍増。しかし、コロナ禍の「ステイホーム」需要が落ち着くとともに、食用油や電気代の高騰が直撃。過剰な出店競争の反動もあり、業界全体に冬の時代が訪れている。
■ からやまはなぜ一人勝ちしているのか
そんな中で、からやまは現在国内121店舗、海外12店舗の合計133店舗を維持。店舗数を減らすことなく、安定した成長を続けている。
尼崎の店舗を訪れたところ、平日の14時過ぎでも数組の待ち客がいた。週末ともなれば、各店で行列ができるという。
エバーアクションのSV部部長・山田桂也氏によれば、からやまの強さの理由は「ブームに流されず、本物の味を追求したこと」にあるという。
■ 「ブームで終わらせない」地道な戦略
2014年のブランド立ち上げ以来、からやまは一貫して売上を伸ばし続けてきた。コロナ禍ではイートインの減少をテイクアウト需要が補い、売上の7割をテイクアウトが占める店もあったという。
「からあげは国民食。みんなが好きな商品だからこそ、仕込みから店舗で行うことを徹底しているのが生き残りのポイント」と山田氏は語る。
他店がコスト削減のためにセントラルキッチン方式を導入するなか、からやまは「店内仕込み」にこだわり続けた。これが味の安定感を生み、リピーターの獲得につながっていると分析する。
さらに、「かつや」のノウハウを活かした効率的な店舗運営や、リーズナブルな価格設定も強みとなっている。ブームに便乗しただけのチェーンが淘汰されるなか、本物の味と安定した経営戦略を持つからやまは、今後も生き残る可能性が高いと言えるだろう。
