自民党、公明党、日本維新の会の政策責任者は21日、国会内で協議し、高校授業料の無償化や社会保険料の引き下げを含む合意文書案をまとめた。3党は今後、党内手続きを経たうえで党首会談を行い、正式に合意する方針だ。文書案には2025年度当初予算案の早期成立が明記されており、予算案は年度内に成立する見通しとなった。
自民党の小野寺五典政調会長は協議後、「政調会長間の議論は終結した」と述べた。合意文書案には「所要の修正を行った上で、年度内の早期に成立させる」との記述が盛り込まれた。
3党は年明けから協議を本格化。焦点となっていた高校授業料の支援金については、2025年度から公立・私立向けの上限年11万8800円の所得制限を撤廃し、2026年度から私立向けの加算分を全国平均の年45万7千円まで引き上げる。また、低所得者向けの奨学給付金も拡充する方針だ。これにより必要財源は約5500億円となる見込みで、政府・与党は審議中の来年度予算案や税制関連法案について必要な修正を行う。
21日の衆院予算委員会では、高校無償化の財源を巡り議論が交わされた。石破茂首相は「歳出歳入両面の措置を徹底的に行い、安定的かつ恒久的な財源を見いだすことが政府の責務だ」と強調。授業料の値上げにつながる懸念については「『便乗値上げ』はあってはならない。よく注意していきたい」と述べた。
衆院で過半数に満たない与党にとって、維新の協力は予算成立に不可欠だった。維新の賛成が固まり、衆院通過と予算成立に向けた環境が整った。
また、与党はさらなる支持拡大を目指し、国民民主党とも「103万円の壁」の引き上げに関して協議を継続している。21日の自公国民3党の税制調査会長による協議では、与党が年収850万円を上限に控除額を上乗せする案を提示。しかし、国民民主は反発し、合意には至らなかった。
