旧統一教会に過料10万円 最高裁が抗告棄却、不法行為も「法令違反」と初判断

 宗教法人法に基づく解散命令請求に向けた質問への回答を拒否したとして、文部科学省が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に行政罰の過料を科すよう求めた裁判で、最高裁第1小法廷(中村慎裁判長)は3日付の決定で、過料10万円を命じた1、2審の判断を支持した。さらに、解散命令の要件である「法令違反」に「民法の不法行為が含まれる」との初判断を示した。現在、東京地裁で進行中の解散命令を巡る裁判にも影響を与える可能性がある。

 裁判官5人全員一致の意見で、同小法廷は質問権行使を適法とした1審・東京地裁、2審・東京高裁の決定に対する教団側の抗告を棄却。これにより、過料を巡る裁判は終局した。

 宗教法人法では、「法令に違反し、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」があった場合、裁判所が解散命令を出せると規定している。また、「法令違反」の疑いがある場合に文科省は質問権を行使できるとされる。

 文科省は、旧統一教会が民法上の不法行為を行ったとして質問権を行使したが、教団側は一部の質問に回答せず、2023年9月に文科省が東京地裁へ過料の適用を通知。教団側は「法令違反とは刑事罰を伴うものに限られ、民法の不法行為は含まれない」と主張していた。

 しかし、最高裁は不法行為を「他人の権利や法律上保護される利益を侵害するもの」と定義し、これに関与した宗教団体の法人存続が不適切となる場合もあると指摘。その上で、文科省の質問権行使は適法だったと結論付けた。

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