日本学術会議は15日、東京都港区の本部で総会を開き、3月に政府が国会に提出した学術会議の特別法人化をめぐる法案について、会員選考の独立性などを確保するための修正を求める決議を賛成多数で採択した。この決議は、会員有志50人以上によって提案されたものである。
学術会議による決議の採択は、1967年10月の予算増額要求以来、約60年ぶりとなる異例の動きであり、国会審議に影響を及ぼす可能性がある。決議は国会に対する学術会議としての明確な意思表示とされ、今後、野党の反対姿勢を後押しする可能性がある。
決議採択後、会員有志を代表して同志社大学の川嶋四郎教授は記者団に対し、「否決されれば、現行法案を容認したと受け止められかねなかった。多くの会員が科学者としての良心に基づき、異議を唱える決断をしてくれた」と述べた。
政府が提出した法案では、日本学術会議を内閣総理大臣の所管とする「特別の法人」とし、首相が任命する監事や評価委員が監査などを担い、会員選考時には外部有識者による選定助言委員会が意見を述べる仕組みとなっている。
しかし、会員有志はこのような構成では、会員選考や活動における独立性が十分に確保されていないとして懸念を示しており、政府に従属する形になりかねないと警戒を強めている。
政府はこれまで、学術会議の閉鎖性や人事の透明性不足を問題視し、法人化による改革の必要性を訴えてきたが、一部からは、政権による批判的学問勢力への統制を図る意図があるとの批判も出ている。
