日本のファミリーマートが展開するカジュアル衣料ブランド「Convenience Wear」は、コンビニエンスストアで下着や靴下、Tシャツといったベーシックアイテムを手軽に購入できるという点で注目を集めている。価格の安さと意外なほどの品質の良さが支持され、すでに販売枚数は4,500万枚を超えたという。実際に店舗を訪れ商品を試したところ、「気軽さ」こそが真のイノベーションであると感じさせられた。
従来、コンビニといえば軽食や小さな生活雑貨を買う場所というイメージが強かった。しかし現在のコンビニ業界は、そうした“ちょっとした買い物”の枠を大きく超えつつある。とりわけファミリーマートは、ブラジャーやTシャツ、靴下といった日常必需品を果敢に展開し、「いつでも・どこでも衣料を買える」環境を生み出している。実際に購入したブラジャーは着心地が良く、値段を考えれば十分満足できる品質であり、コンビニで衣料を買うという選択肢がこれほど自然になるとは思わなかった。
むろん新たな挑戦には課題もある。コンビニが地域の小規模店舗を圧迫する可能性や、デザインが無難すぎてブランド性に欠けるという批判の声も聞かれる。しかし、消費者視点からみれば、安価・十分な品質・身近でいつでも手に入るという利便性は大きな魅力である。実際に一度購入した人の多くはリピートするという話もあり、この市場はさらに拡大する可能性が高いといえよう。
興味深いのは、このようなコンビニの革新が日本にとどまらないかもしれないという点である。たとえば韓国でも、コンビニでその場でスムージーを作って販売する日本の機械が導入され、小さくとも強烈なインパクトを持つ試みが増えている。かつては大型ショッピングモールやオンラインストアへ行かなければ買えなかった商品を、近所のコンビニで手軽に入手できるようになったことが、消費行動の地図を塗り替えつつある。
地方では店舗閉鎖が相次いでいるという現実もあるが、地域ニーズに合わせた新サービスや商品の導入が進めば、コンビニが単なる小売店から「日常のプラットフォーム」へ進化する可能性も十分にある。
結局のところ、ファミリーマートが打ち出す「ユニクロ風カジュアル衣料」という路線は、コンビニの未来を象徴的に示している。手頃な価格と安定した品質、そしていつでも目に届く立地が、いまの消費者ニーズにしっかり合致しているのである。コンビニがこの「気軽さ」という強みをさらに突き詰めていけば、今後もわたしたちの生活と購買行動に革新をもたらし続けるであろう。
ソン ウォンソ(Wonsuh Song, Ph.D.)
秀明大学 専任講師 / NKNGO Forum 代表

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