日本政府は8月27日、米国および韓国と共に「北朝鮮IT労働者に関する共同声明」を公表した。同時に、外務省、警察庁、財務省、経済産業省は、昨年3月に発出した「北朝鮮IT労働者に関する企業等に対する注意喚起」を更新し、最新の情報を盛り込んで公開した。
共同声明では、北朝鮮が国連安保理決議に違反し、IT人材を世界各地に派遣してその収益を大量破壊兵器や弾道ミサイルの開発資金に充てていることへの深刻な懸念が表明された。特にAI(人工知能)ツールを用いた身分偽装や、フリーランス契約を装った取引が増加しており、北米、欧州、東アジアを中心に実例が拡大していると指摘された。
声明はまた、企業が北朝鮮関係者と知らずに契約することで、知的財産や資金流出のリスクだけでなく、信用失墜や法的責任を負う危険性があると警告した。こうした背景から、日本政府は企業向け注意喚起を改訂し、AIを駆使した偽装手口などの最新動向を反映、企業が誤って関与しないよう具体的な対策を促している。
米国は同日、ロシアやラオス、中国などで活動する関連組織・個人に対して新たな制裁を科した。韓国政府も以前から注意喚起を行っており、今回の共同声明に改めて賛同の立場を示した。
3カ国は今後も公的機関の連携を一層強化するとともに、民間企業との協力を深化させ、北朝鮮による不正収益獲得と悪質なサイバー活動を阻止していく方針を強調した。
