[コラム] 超高齢社会日本、「65歳高齢者」定義を見直すべきでは

日本経済新聞によれば、本日またもや高齢者比率が過去最高を更新した。65歳以上が総人口の29.4%、実に3600万人を超えるという。さらに75歳以上の割合は16.1%に達し、日本が世界有数の超高齢社会であることが改めて示された。東京のような大都市では若い世代も一定数見られるが、地方に行けば人口の半数以上が高齢者に見えるほどである。

注目すべきは、65歳以上でありながら就業している人が930万人に上り、21年連続で増加している点である。高齢化が進んでいる国としてイタリアやフィンランドが挙げられるが、それでも25%前後にとどまっており、日本の29%超という数字は「世界一の高齢国家」と言っても過言ではない。

しかし、ここで疑問が浮かぶ。果たして「65歳=高齢者」という区切り方は現代にふさわしいのだろうか。今日の65歳は依然として活動的であり、社会に貢献できる力を十分に持っている。むしろ65歳以降の人生は、経済的自立のみならず、生きがいと社会的つながりを維持するうえで重要な時期である。

日本は国家予算の3分の1以上を社会保障(年金、医療、介護、子ども・子育て等)に充てている。2025年の社会保障関連予算は38兆円に達した。慢性的な高齢化によって、医療費や年金、介護関連の支出が膨らんでいるためである。財政的な負担が大きいのは事実だが、高齢者を「負担」としてのみ捉えるのは誤りである。その知識や労働力を適切に活用すれば、深刻な人手不足を補う貴重な資源となり得る。特に女性の労働参加と並び、高齢人材の活用は今後の日本に不可欠な課題である。

長年日本に暮らして感じるのは、高齢者を意識した社会インフラが着実に整備されている点である。階段の手すり、バリアフリー設計、バスや道路環境などは、海外に行った後に戻ると一層はっきりと実感できる。日本はすでに世界有数の「高齢者に優しい社会」と言えるだろう。

これから求められるのは意識の転換である。「65歳で引退」という硬直的な発想を超え、希望する人は誰もが働き続けられる文化を定着させることだ。これは日本にとってのみならず、近い将来高齢化に直面する他国にとっても大きな示唆を与えるに違いない。

ソン ウォンソ(Wonsuh Song, Ph.D.)

秀明大学 専任講師 / NKNGO Forum 代表

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