不登校や発達障害の子どもを持つ保護者たちが集う会「函館アカシヤ」(北海道函館市)が、設立から30年以上にわたり活動を続けている。代表の土谷結花(つちや・ゆか)さんは、「親がまず『まあいいか』と気持ちを楽にすることで、状況が改善していく」と訴える。
保護者会の始まりと活動内容
1993年に数人の母親が集まり、悩みを語り合う場としてスタートした「函館アカシヤ」。現在では月に1度の茶話会や専門家を招いた講演会を開催し、約100人のメンバーが活動に参加している。
土谷さんがこの会を訪れたのは、2013年に小学3年生だった息子が学校に通えなくなったことがきっかけだった。同じ境遇の保護者と話すことで孤独感は薄らいだものの、当初は「学校に行かせなければ」という思いにとらわれていたという。
息子との関係改善と新たな道
「学校がサメに見える」と語った息子の言葉に、学校への恐怖心があることを理解した土谷さん。好きなことに取り組む息子を支えるように努めると、親子関係も体調も徐々に改善していった。息子は中学校卒業まで一度も登校しなかったが、通信制高校を卒業し、現在はリモートで動画作成の仕事を行っている。
不登校の現状と多様な進路
かつては「登校させる方法」を模索する保護者が多かったが、現在は「外出させるべきか」「一緒に食事をすべきか」といった生活面での悩みが中心になっている。また、不登校だった子どもたちの進路は多様で、学校に戻る者もいれば、アルバイトで貯金をして専門学校に進む者もいる。
土谷さんは「それぞれの形でいい」と親に寄り添いながら、保護者自身が元気を取り戻すことの重要性を強調する。
増え続ける不登校児童生徒
文部科学省の調査によると、2023年度の不登校児童生徒は全国で34万人を超え、小中学生全体の3.7%に上る。これは過去最多であり、無理に通学を強いない保護者が増えたことも背景にあるとみられる。
「函館アカシヤ」の活動は、子どもたちと保護者がそれぞれのペースで前に進むための支えとなっている。今後もその取り組みが、多くの家庭に希望をもたらすことが期待されている。
