国際通貨基金(IMF)は17日、最新の世界経済見通しを発表し、2025年の世界全体の経済成長率を3.3%と予測した。これは2024年10月時点の前回予測から0.1ポイントの上方修正となり、米国経済の堅調さが反映されたものだ。一方、2026年の成長率は3.3%で据え置かれた。
IMFのチーフエコノミスト、ピエール・オリビエ・グランシャ氏は「地域ごとに成長のばらつきが見られる。特にユーロ圏の成長は予想を下回り、弱い状況が続く」と懸念を示した。また、短期的な成長リスクについて、米国は上振れが予測される一方で、欧州や中国など他地域では下振れの可能性が指摘され、地域間格差が一段と広がる可能性があると述べた。
主要地域の成長予測
日本の2025年の成長率は1.1%、2026年は0.8%で、前回予測が維持された。一方、米国の2025年成長率は2.7%と0.5ポイント上方修正され、堅調な労働市場や投資加速が背景にあると分析された。短期的には減税や規制緩和による景気刺激が期待されるものの、高関税や移民規制強化が中期的なリスク要因になると見られる。
ユーロ圏の2025年成長率は1.0%に下方修正され、政局不安が影響している。中国については0.1ポイント上方修正され、4.6%の成長が予測されたが、保護貿易主義の高まりが脆弱性を増大させるリスクがあると警告された。
IMFの予測は、米国の堅調な経済が世界成長を牽引する一方で、地域間の格差が拡大し、欧州や中国の脆弱性が浮き彫りになる状況を反映している。今後の政策対応が各地域の経済安定に大きな影響を及ぼすとみられる。
