日本郵便、違約金制度の迷走 「短期間で再変更」に現場困惑

日本郵便が宅配便「ゆうパック」の委託業者に課す違約金制度を、わずか1カ月で再び変更したことが明らかになった。同社は2024年12月の改定に続き、2025年1月20日付で新たな基準を全国の郵便局に通知した。基準額は1万円から5000円に減額され、徴収対象も「違反3回目以降」に限定された。この急な変更に現場では混乱が広がっている。

短期間で2度の改定、「申し訳ありません」と社内文書

1月20日に全国に配布された通知文書には、「短期間での指示内容の変更となり、誠に申し訳ありません」と記されている。さらに、変更理由について「改めて社内で運用方法の検討を行った結果」と説明された。

今回の通知では、紛失や誤配達、タバコ臭などの苦情が同年度内に3回以上発生した場合に限り、違約金を徴収する方針が明示された。また、昨年12月の通知で導入された「故意」と「過失」の分類は廃止され、より簡略化された内容となった。新基準の適用開始時期は2025年4月からと変わらない。

公正取引委員会の指摘と制度見直しの背景

今回の変更の背景には、公正取引委員会(公取委)による下請法違反の認定がある。2024年6月、関東地方の郵便局と委託業者の契約について公取委が調査を実施。不当に高額な違約金が十分な説明もなく徴収されていたとして、日本郵便に行政指導を行った。ある地域では、誤配達で3万円、タバコ臭の苦情で10万円が徴収されていたケースも確認された。

これを受け、日本郵便は昨年12月に違約金の基準額を見直し、「誤配達5000円」「タバコ臭1万円」とする新基準を通知した。しかし、その翌月に再度の変更を余儀なくされたことについて、現場の郵便局からは「方向性を見失っているのではないか」との批判が出ている。

現場と委託業者から不満の声

近畿地方のある郵便局職員は「制度の必要性自体を見直すべきだ」と指摘。さらに、ある委託業者は「これまでの高額な違約金の説明がつかない。返金して欲しい」と強く不満を表明した。

日本郵便「集配品質の維持が目的」とコメント

日本郵便は「違約金制度の趣旨は集配品質の維持・向上にある」と説明。公取委の行政指導を受け、より実効性の高い方法を検討した結果としている。しかし、短期間での二度の変更は、現場の混乱を招き、信頼性の低下を招く結果となっている。

日本郵便の違約金制度を巡る迷走は、制度の根本的な必要性への疑問を浮き彫りにしている。今後、さらなる改善と透明性の確保が求められるだろう。

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