[コラム] “脅迫メール”に揺れる教育現場、社会全体での対応が急務

筆者は、数年前、子どもが通う学校に「誘拐脅迫メール」が届いたという連絡を受けた。当時、学校側は保護者に対して緊急メールを送り、「脅迫を受けたため、心配な方はお子さんを迎えに来てください」という内容を伝えた。突然の事態に驚き、不安を感じた筆者も、すぐに学校へ向かった。同じように動揺し、急いで子どもを迎えに行く保護者も少なくなかった。

このような出来事は一度きりでは終わらなかった。その後も学校に同様の脅迫が繰り返されたし、周辺の学校でも同じことが起きていた。これが最近また同じような脅迫メールが送られたと聞いている。学校では、生徒を早退させたり、保護者に連絡を取ったりするなどの対応に追われ、混乱が続いている。また、筆者が勤務する大学にも「爆破予告」のファックス(!)が届き、学校側から「不要不急の外出を控えるように」と全学メールで案内があった。他の大学でも同様のものが届いているとのことで、警察が捜査を進めているという。

日本は治安が良い国として知られているが、こうした「脅迫メール」や「予告FAX」一件で社会全体が大きく動揺する様子を見ると、脅迫者の狙い通りに“恐怖の拡散”が実現しているのではないかと危惧する。実際、このような脅迫が続くと教育機関や保護者、生徒たちに大きな心理的負担を与え、日常生活にも影響を及ぼす。

この状況は「オオカミ少年」の話を思い出させる。繰り返される虚偽の脅迫は、実際の危険が発生した際に誰も警告を真剣に受け止めなくなるリスクを伴う。それゆえに、こうした行為は単なる悪質ないたずらでは済まされない。社会全体の信頼と安全を揺るがす深刻な犯罪である。

さらに問題なのは、こうした脅迫犯が長年にわたり逮捕されず、同様の事件が繰り返されているという点だ。その間に教育機関や市民たちは、不安と恐怖にさらされ続けている。社会全体がこうした犯罪にどう向き合うべきか、根本的な対策を講じる必要があるだろう。

特に、教育現場では事態に即応できる危機管理のマニュアルが求められる。また、学校と警察、市民の間で迅速な情報共有が行われ、万が一の事態に備えたシステムの構築が急務である。加えて、繰り返される虚偽の脅迫に対し、どのように冷静かつ的確に対応するかも重要だ。

現在、日本社会ではこの問題が大きな話題となっている。学校から大学、公共機関に至るまで、あらゆる場所がこうした脅迫の対象となり得る状況を目の当たりにすると、社会全体の不安が一層広がるのを感じる。このような事態に直面するたびに、我々一人ひとりが冷静さを保ち、適切な対応策を講じることの重要性を痛感する。

この問題は教育現場だけに留まらない。社会全体が協力し、再発防止のためのシステムを整えることが求められるだろう。安全が当たり前と思われていた社会で、こうした脅迫による混乱が生じないようにするために、私たちは何ができるのか。今こそ真剣に向き合うべき時ではないだろうか。

ソン ウォンソ (Ph.D.)
秀明大学学校教師学部専任講師

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