私たちの周りには、なぜか“いつも数分遅れてしまう”人がいる。一般的には「怠け者で計画性がないから遅刻する」と見なされがちだが、必ずしもそうとは限らない。むしろ時間を大切に考え、「一度により多くのことを処理しよう」とするあまり、気づけば約束の時刻を過ぎてしまうというケースも少なくないのだ。
たとえば、約束の時刻まで30分の余裕があるとしよう。普通であれば早めに出発して待つかもしれないが、彼らは「その30分をただ待って過ごすのはもったいない。25分で終わる仕事を片づけよう」と考える。ところが、実際には思ったほど簡単に終わらないことが多い。すると「せっかくここまでやったのだから、もう少しで終わるし…」という気持ちが働き、さらに作業を続けてしまう。その結果、出発すべき時間をとうに過ぎてしまうのだ。
そしてこの遅刻は、特定の約束だけに起こるのではなく、ほぼすべての約束において繰り返される。まるで「少しの空き時間を無駄にしないこと」が最大の効率であるかのように。こういった発想自体は決して怠惰とはいえない。むしろ「待ち時間の空白」を嫌い、「時間を有効に使いたい」という姿勢の延長線上にある。
問題は、この「効率重視の考え方」が他者との約束を守るという点としばしば衝突してしまうことである。いつも数分でも遅刻してしまうと、結果的に周囲からは「遅刻魔」「時間にルーズな人」とレッテルを貼られがちだ。一方で本人にしてみれば、少しでも時間を有効活用しようというポジティブな動機から来ているため、なかなか自覚しづらく、改善も難しい。
この状況を変えるためには、まず「時間を徹底的に活用しようとする過程が、約束を守ることと食い違いを起こしている」ことを認識する必要がある。そして「時間厳守」もまた、社会の中でお互いを尊重し合うための効率的な手段であることを理解しなくてはならない。相手や自分の時間を大切にすることこそ、長い目で見れば、より豊かで信頼できる人間関係を築く近道にもなるのだ。
具体的には「少し早めに着いてしまったら、その間に頭をリセットしたり、次の予定をゆっくり整理してみる」など、新たな習慣を取り入れてみるとよいだろう。何もせずに待つ数分は、一見ムダに見えるかもしれないが、その短い余裕が意外に大きな心のゆとりをもたらすこともある。
いつも遅刻してしまう人たちは、決して怠け者や責任感のない人ばかりではない。むしろ「他の人より少しでも時間を有効活用したい」と考えた結果、いつの間にか遅刻という形でしわ寄せが来てしまっているのだ。ほんの少しでも「早めに動く」ことを心がけ、余裕を楽しむ姿勢を身につけることで、私たちは今よりもっと柔軟かつ信頼できる人間関係を築いていけるのではないだろうか。
―本コラムは、毎回遅刻してしまう人々の事情や心情を代弁する形で執筆したものである。
ソン ウォンソ
秀明大学専任講師 / NKNGO Forum代表
