農林中央金庫（農中）が7日に発表した2024年4～12月期の連結決算によると、純損益は1兆4145億円の赤字（前年同期は970億円の黒字）となった。海外金利の上昇による米欧国債の含み損を抱えた影響で、大幅な損失が発生した。
9月中間決算時点の赤字額は8939億円だったが、その後も損失が拡大。2025年3月期通期の赤字額は「1.5兆～2兆円規模」との見通しを維持しており、リーマン・ショック時の2009年3月期（5721億円）を大幅に上回る過去最大の赤字となる見込みだ。
農中は、資産売却と同時に資本増強を進めており、新たに411億円の増資計画を発表。これにより、調達済みの資本と合わせた3月末までの増資規模は約1.4兆円に達する見通しだ。
金利上昇の影響で、農中の外債を含む債券の含み損は2024年3月末時点で2兆1923億円に拡大していた。これを受け、利回りの低い運用資産を売却し損失を確定させるとともに、増資による投資余力を確保し、運用資産の入れ替えを進める方針を決定。2024年12月末までに、主に米欧国債を中心とした約12.8兆円の運用資産を売却し、同時点での債券含み損は1兆5701億円に縮小した。
農中は、2026年3月期の黒字化を目指し、今後も低利回り資産の売却を進める方針だ。
この巨額損失を受け、農中を監督する農林水産省は金融庁と連携し、有識者会議を設置。資産運用体制の検証を開始し、1月28日に公表した報告書では「リスク管理体制が十分機能していなかった」と指摘。市場運用の経験を持つ理事の増員や、農林中金法の改正による外部からの理事登用などを提言した。
