【コラム】世代を超えるカラオケ―音楽がもたらす共感の魔法

vibrant tokyo street nightlife with neon lights

今日では、人々は国や文化の境界を軽々と越えて交流を楽しむようになっている。しかし、同じ国や地域の中でも、ふと見落としてしまいがちなものがある。それが「世代間のギャップ」である。世代の違いは時事問題や趣味・娯楽など様々な場面で表れるが、中でも音楽の嗜好において顕著である。

先日、筆者は日本で行われた韓国関連のイベントに参加した後、海外からの参加者たちとカラオケに行く機会を得た。彼らとの年齢差は10歳から14歳ほど。そんなとき、どんな曲を選べばみんなで楽しめるのか、頭を悩ませるものである。ところが、意外にも簡単な解決策があった。「何年入学なのか」を尋ね、その時代に流行したヒット曲をYouTubeなどで検索し、カラオケの予約リストに入れるという方法である。たとえば82年に大学へ入学したという人がいれば1982年の大ヒット曲を、84年入学なら1984年の名曲を調べて用意する。自分にとっては馴染みの薄い曲でも、その時代に青春を過ごした人にとっては、瞬時に思い出が甦るものである。

実際、カラオケという場では、自分がよく知っている曲を歌うほうが盛り上がりやすいし、聴く側も思い出を共有しやすい。10年以上年の離れた相手であれば、こちらが子どもの頃に知らなかった歌手や曲が、その世代にとっては青春の象徴である可能性が高い。たとえば、パティ・キムやチョー・ヨンピルといった、ある時代を席巻した歌手の曲は、筆者にとってはほとんど馴染みがない場合もある。しかし、いざリストに加えて一緒に歌い始めると、あっという間に場の雰囲気が最高潮に達する。そのときの笑顔や熱気は、何にも代えがたいものである。

興味深いのは、この方法が異なる文化圏の人々にも有効だということである。かつて筆者が日本、イギリス、ギリシャ、スペイン、フランス出身の友人たちとカラオケに行った際にも、同じ方法を使った。イギリスから来た友人とはクイーンやビートルズを交互に熱唱し、日本人の友人たちとはX JAPANの名曲を全力で歌って大いに盛り上がった。言語が違っていても、あるいは歌詞が少々馴染みなくとも、その曲に込められた情熱や思い出が共感を生むのである。

もちろん「知らない曲だからうまく歌えるか不安」という声もあるかもしれない。しかし、本質は「完璧に歌いこなす」ことではなく、「一緒に楽しむ」ことにある。カラオケとは、誰もが歌唱力を競うためのステージというよりも、共通の記憶や感情を分かち合う空間なのである。

このようなカラオケでの体験を通じて、筆者は改めて二つのことを実感した。第一に、歌は人間の最も基本的な感情に訴えるコミュニケーションの手段であるということ。第二に、世代間の壁を取り払うだけではなく、文化や国境の差さえ乗り越えて、人と人との距離を急速に縮める“魔法”のような力を音楽は持っているということである。曲ひとつがまるでタイムマシンのチケットのように機能し、互いが生きてきた時代の物語を共有する場を作り出すのだ。

これから10年、20年先にも、世代が大きく異なる人々とカラオケに行く機会があるかもしれない。そのときも、筆者はきっと「何年に入学されたのですか」と尋ね、その年代のヒット曲を検索し、リストに加えるであろう。そうして一緒に思い出を歌い、笑い合っているうちに、カラオケはいつの間にか世代を超えた共感の広場へと変貌するのである。

ソン ウォンソ(Wonsuh Song, Ph.D.)
秀明大学 専任講師 / NKNGO Forum 代表

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