2025年、米価が前年比2倍を超える急騰を見せる中、「令和の百姓一揆」と名付けられた農業危機を訴えるデモが全国で展開されている。3月末、東京都心の青山から代々木公園までトラクター約30台がデモ行進に参加し、参加者は「時給10円」など過酷な経営実態の改善を強く訴えた。
農林水産省によると、2022年時点で米農家(水田作経営)の年間平均所得はわずか1万円。年間1003時間の労働を考慮すると、時給換算で約10円に過ぎないという衝撃的な数字だ。菅野芳秀実行委員会代表(75)は「これでは農業をやめろと言われているに等しい」と怒りをあらわにした。
一方で、同じ米農家でも規模拡大や経営の効率化を図り、年収1000万円を超える農業経営者も存在する。この収入格差の主な要因は経営規模と生産効率にある。大型機械導入や積極的なブランド化で市場競争力を高めた一部の農家が利益を上げる一方、規模が小さい農家や高齢の農業者ほど価格高騰の恩恵を受けにくい状況となっている。
こうした中、山形県など一部地域では若い世代の新規就農が増えており、経営改革に取り組む事例も見られる。農家の格差解消と持続可能な農業の実現に向け、国や地方自治体の支援策強化が求められている。
