防衛省統合幕僚監部は8日、中国海軍の空母「遼寧」が7日から8日にかけて南鳥島(東京都)沖の太平洋を航行し、戦闘機やヘリコプターの発着艦を実施したと発表した。中国海軍の空母が南鳥島沖まで進出したのは初めてで、防衛省は警戒監視を強化している。
統合幕僚監部によると、遼寧は7日午後6時ごろ、南鳥島の南西約300キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内をミサイル駆逐艦を含む計4隻の艦隊で航行しているのが確認された。その後さらに南西に進路を取り、8日には搭載機による発着艦訓練を行った。
遼寧は5月下旬に沖縄周辺の東シナ海および太平洋で集中的な訓練を実施した後、南下して太平洋を航行していたが、今回初めて日本の東端に位置する南鳥島周辺にまで北上したとみられる。
「遼寧」は旧ソ連製空母を中国が改修し、2012年に就役した同国初の空母。艦首部分に傾斜したスキージャンプ式の甲板を持ち、戦闘機の発着艦を可能としている。昨年9月には沖縄県の西表島と与那国島の間を通過し、日本の接続水域内を初めて航行していたことが確認されている。
防衛省は、中国海軍が日本周辺海域で活動範囲を拡大しているとして、引き続き情報収集を徹底するとともに警戒監視体制を強化する方針を示している。
