永住外国人の地方参政権に関する14のQ&A

共生社会の実現に向けて市民としての権利獲得を目指す

私たちが地方参政権獲得運動に本格的に取り組んでから今年(2019年)で25年目となりました。この間、地方議会における意見書採択や政党と国会議員に対する要望活動、研修会やシンポジウムの開催など多岐にわたる活動を展開してきました。しかし、未だに立法化には至っておらず、近年の韓日情勢の変化やヘイトスピーチの表面化によりさらに難しい局面が続いています。

Q1 地方参政権獲得運動の起点と背景

「91年問題」に決着がついた後、民団は生活権拡充運動の最大目標として地方参政権の獲得を掲げました。1965年の韓日法的地位協定で先送りにされていた協定三世の在留資格問題に決着がついた1991年以降、民団は地方参政権獲得運動を開始しました。

Q2 地方議会意見書採択の意義

1993年、大阪の岸和田市議会が初めて定住外国人に対する地方参政権を求める意見書を採択しました。これに続いて全国の地方議会が同様の決議を行い、2010年までに1531自治体が採択しました。

Q3 民団が地方参政権獲得を最優先課題とした時期

1994年、民団は「在日本大韓民国居留民団」という名称から「居留」を削除し、在日韓国人が韓国籍のまま地域住民として日本に永住する方向性を示しました。この時点から地方参政権獲得運動を本格化しました。

Q4 1995年の最高裁判決の意義

1995年2月28日の最高裁判決は、永住者等でその地域の地方公共団体と緊密な関係を持つ者について、地方参政権を付与することは憲法上禁止されていないと判断しました。

Q5 反対論の矛盾

反対論者は当初「国籍の論理」を前面に出していましたが、最高裁判決後は「国家への忠誠心」に論点をすり替えました。しかし、この論法には無理があります。

Q6 法律的な改正の必要性

地方自治法と公職選挙法を改正し、永住外国籍住民にも地方参政権を付与することが必要です。これは国会の責務です。

Q7 地方参政権が付与される具体的な権利

地方選挙権を有する者は、民生委員や人権擁護委員などの公職に就任する資格が得られます。また、地方自治体における各種の直接請求権も有します。

Q8 国会における法案審議の動き

1998年以降、公明党や民主党、共産党が計11回法案を提出し、自自公連立政権が合意書に署名しましたが、小泉政権により反故にされました。

Q9 民主党の連立政権時代の失敗

民主党・社民党・国民新党の連立政権時代に地方参政権法案の提出が検討されましたが、連立政権の崩壊や反対キャンペーンにより実現には至りませんでした。

Q10 今後の地方参政権獲得運動の方向性

国連の人種差別撤廃委員会が日本に居住する在日コリアンの地方選挙権に言及し、地方参政権獲得運動の再構築に向けた新たな展開が期待されています。

結びに

地方参政権獲得運動は住民運動であり、人権・市民権・共生社会の実現を目指すものです。民団は今後も研修会や要望活動を通じて、地方参政権の獲得に向けた努力を続けていきます。

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