[コラム] 地震予言よりも強い日本の魅力

「七月初頭に日本壊滅級の大地震が起こる」という噂が世界的に拡散した。発端は漫画『私が見た未来』で、作者が2025年7月5日の巨大災害を夢で見たと語った箇所である。香港や台湾ではツアーが相次いでキャンセルされ、私の元にも「今日本へ行って大丈夫か」との問い合わせが殺到した。予言は科学ではなく、ここで暮らす我々も同じリスクを抱えていることを人々は忘れがちだ。 

実際には7月3〜6日、鹿児島県トカラ列島でM5級の地震が連続したのみで、東京や大阪が揺れる事態には至らなかった。震源は首都圏から千キロ以上離れ、津波の心配も報告された被害もない。

それでも訪日需要は衰えない。日本政府観光局によれば、2024年の訪日外国人数は過去最多の3,687万人。国籍別トップは韓国で888万人、中国、台湾、米国が続く。 

円安の長期化で「日本は安い」という評価が米欧にも広がり、飲食・宿泊業者は行列を作る外国人客に合わせて値上げを続ける。京都・三年坂は「歩行不能」と嘆かれるほどで、オーバーツーリズムと生活費高騰は住民の負担を直撃している。

先週末、銀座の老舗文房具店・伊東屋で目にしたのは、米国人男性二人が2,200円の小型ペンケースを即決2つ購入する姿だった。手触りの良い紙、緻密な収納、アナログの温かみ―こうした細部が日本固有の魅力を形成している。

訪日客数で韓国が首位という事実は、「嫌韓・反日」という固定観念が現実と乖離していることを示す。両国社会はすでに日常レベルで深く結び付いている。

風説はやがて消えるが、本物を求める好奇心は残る。事実に基づく視線と相互理解が、これからの日韓関係をより明るい方向へ導くことを願う。

ソン ウォンソ(Wonsuh Song, Ph.D.)
秀明大学 専任講師 / NKNGO Forum 代表

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