[コラム] 「KPOPガールズ!デーモン・ハンターズ」が描く、日米韓カルチャー協業の可能性

最初に「KPOPガールズ!デーモン・ハンターズ」というタイトルを目にしたとき、少しばかり戸惑いを覚えた。「K-POP」も「デーモン・ハンターズ」も、あまりにも直球すぎて、中高生向けのアニメか何かだろうと思ってしまったのだ。だがこの作品が、Netflixで2025年6月に全世界同時配信されたソニー・ピクチャーズアニメーション制作の本格的なミュージカル・ファンタジーアニメだと知ったとき、驚きを隠せなかった。

物語の主人公は、世界的なK-POPガールグループ「HUNTR/X(ハンタリックス)」のメンバーたち。彼女たちはアイドルとしての活動の裏で、悪魔を退治する“デーモン・ハンター”というもう一つの顔を持つ。音楽の力で悪魔を封印し、ファンや世界を守るというストーリーは、単なるバトルものではなく、K-POPカルチャーとアニメ演出、そして多国籍なアイデンティティを融合させた、きわめて今日的な作品である。

対立するボーイズグループ「Saja Boys」は、地獄の存在「Gwi-Ma」に操られた存在として登場する。この敵役の設定も興味深く、アイドル戦争に見える構図の裏側に、ファン心理や集団心理への批評的視点も感じられる。何より、楽曲「Golden」をはじめとしたOSTは、作品の世界観をさらに深め、単なるBGMではなく、物語を駆動する“武器”として重要な役割を果たしている。

私自身は、最初このタイトルに少し構えてしまったが、信頼している研究者が「面白すぎて2回観た」「今は毎日サントラを聴いている」と語ったことで一気に興味が湧いた。作品は公開後、Netflix世界ランキングの上位を維持し、OSTもビルボードチャートに登場するなど、まさに世界的ヒットとなっている。

この作品の本質的な魅力は、ストーリーの中身だけではない。制作に関わったのは、K-POPという文化的資産を持つ韓国、ハイクオリティなアニメ表現が可能な日本、そしてグローバルな配信ネットワークを有するアメリカという三国である。いわばこれは、日米韓三者がそれぞれの強みを持ち寄り実現させた“カルチャー連携プロジェクト”と言える。

『KPOPガールズ!デーモン・ハンターズ』は、アイドルとアニメ、音楽とファンタジーというジャンルを横断しながら、国境を越えた創造的協業の未来を提示している。日韓の若者文化、そしてそれを世界に届けるアメリカの発信力。この三つの力が合わさることで、従来の「アニメ」の枠を超えた新たなエンターテインメントが誕生したのだ。

これまでアニメに馴染みのなかったK-POPファンにも、そしてアニメファンにも、それぞれ違った角度から訴えかけることができるこの作品。もしまだ観ていないなら、一度その世界観に触れてみてほしい。そして、これからの日本がこのような国際協業にどう関わっていくのかも、改めて考える契機になるはずである。

ソン ウォンソ(Wonsuh Song, Ph.D.)
秀明大学 専任講師 / NKNGO Forum 代表

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