15日に予定される米露首脳会談で、最大の争点はウクライナの領土問題となる見通しだ。プーチン大統領はトランプ米大統領を取り込み、自国有利の条件でウクライナに停戦を受け入れさせる構えを見せている。ウクライナ側の反発は必至で、会談直前まで激しい駆け引きが続くとみられる。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは8日、プーチン氏が米国のウィトコフ特使との会談で、ウクライナ軍がドネツク州から撤退すれば完全停戦に応じる意向を示したと報じた。ロシア軍は同州の約7割を支配しているとされるが、撤退により残りの3割も無傷で掌握できることになり、外交的勝利を狙う思惑が透ける。
ブルームバーグは同日、プーチン氏がドンバス全域(ドネツク州、ルハンシク州)とクリミア半島のロシア編入を要求していると伝えた。ルハンシク州は6月時点でロシア側が「完全制圧」を主張している。
一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は9日、「占領者に土地を譲ることはない」と強く反発。米戦争研究所も、ドネツク州からの撤退は長年築いた防衛線を失い、ロシア軍再侵攻の際に不利になると警告した。
プーチン氏は南部ザポリージャ州とヘルソン州について、現戦線での停戦に応じるとしながらも、将来的な完全支配をあきらめたわけではなく、領土交換による実現を目指す方針とされる。ロシアは2014年にクリミア半島、2022年には東部2州と南部2州を併合宣言しており、これら5地域をロシア領と認めることを和平の前提条件としてきた。
欧州諸国からは「南部での戦闘停止と引き換えに東部を失う」形への懸念が出ている。停戦監視の主体も未定で、実効性には疑問が残る。プーチン氏は今回の会談を機にトランプ氏との関係を強化し、欧米分断を利用して交渉を有利に進める狙いを隠していない。
