2025年9月1日、ソウル竜山区の中央地域軍事法院で開かれた「12・3内乱」関連第13回公判で、元国防情報司令部計画処長の高東熙大佐は、自身と部下が中央選挙管理委員会(以下、選管)に投入された当時の行動について「脅迫ではなく協力要請だった」と証言した。
高大佐は「拳銃の携帯は司令官の指示であり、討議の末に決めたものではなく、司令官が決断したことだ」と述べた。これは弁護人が「証人と作戦課長の意見を聞いて決めたのではないか」と質問したことに対する回答で、命令が一方的なものであった点を強調した。
また高大佐は、選管職員に対し「タメ口ではなく『ご協力お願いします』などの敬語で依頼した」と主張し、「暴言や接触は一切なく、拳銃を抜いたり手をかけたりしたこともなく、ただ携帯していただけだ」と説明した。さらに「司令官からは物理的衝突を避けるよう指示があった」とも付け加えた。
しかし、証人として出廷した選管職員らは「腰に拳銃を帯びた軍人が突然現れ、携帯電話を押収し、トイレや喫煙も軍人の許可を得なければならなかった。当時、強い威圧感と恐怖を感じた」と証言した。
検察側は「武装した軍人が職員の行動を制限し、外部との連絡を遮断しただけでも十分な脅迫にあたる」と指摘。これに対し高大佐は「当時は協力をお願いしただけであり、職員らもよく応じてくれた」と反論した。
両被告である元情報司令官文相浩少将と高大佐は、2024年12月3日の非常戒厳令下で部隊を動員し、選管サーバー室を占拠させた行為について起訴されている。両者とも起訴事実の大部分を認めながらも「国家機関を麻痺させる目的の暴動ではなかった」「上官命令に従っただけで職権乱用には当たらない」と主張している。
今回の公判は、違法性の有無をめぐり、被告側が「責任分散」と「暴力・脅迫はなかった」と強調する構図が鮮明となった。
