令和6年能登半島地震の被災者である相続人の方々へ 政令により延長された相続放棄等の熟慮期間は、令和6年9月30日までです。
令和6年1月11日
令和6年能登半島地震の被災者の権利利益を保全するため、「令和6年能登半島地震による災害についての特定非常災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令」(以下「政令」)が令和6年1月11日に公布、施行されました。この政令により、令和6年能登半島地震による災害の発生日である令和6年1月1日に対象区域に住所を有していた相続人について、熟慮期間(相続の承認又は放棄をすべき期間)が令和6年9月30日まで延長されます。詳細は内閣府ホームページをご覧ください。
本特例に関する説明
政令のうち、相続放棄等の熟慮期間の特例に関する措置について説明します。延長された熟慮期間は令和6年9月30日で満了しますので、ご注意ください。
概要イメージ「相続放棄等の熟慮期間の延長について」【PDF】
Q1: 「相続放棄」や「限定承認」、「熟慮期間」とは何ですか。
A:ある方(被相続人)が亡くなると、その相続人は被相続人の財産を受け継ぎますが、債務も引き継ぐことになります。相続人が債務を引き継ぎたくない場合、相続放棄(民法第938条)により債務を引き継がないことができます。ただし、相続放棄をすると財産も引き継ぎません。
財産が不明な場合、相続人は限定承認(民法第922条)を行い、相続によって得た財産の限度で債務を引き継ぐことができます。
相続放棄及び限定承認をする場合、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月以内に家庭裁判所に申述しなければなりません(民法第915条第1項、第924条、第938条)。この期間を熟慮期間といいます。
Q2: 今回の熟慮期間の特例とは何ですか。
A:熟慮期間の終期が令和6年1月1日以降の場合、その終期を令和6年9月30日まで延長します。例えば、相続人が令和5年12月1日に自己のために相続の開始があったことを知った場合、通常の熟慮期間の終期は令和6年3月1日ですが、この特例により令和6年9月30日まで延長されます。
Q3: 対象となる人は誰ですか。
A:本特例の対象は、令和6年能登半島地震の災害発生日である令和6年1月1日に対象区域に住所を有していた相続人です。対象区域は内閣府防災情報のページをご覧ください。
Q4: 対象区域に住民票がなければ、本特例の適用を受けられませんか。
A:家庭裁判所は、住民票、勤務証明書、在学証明書、公共料金の支払記録などに基づいて判断します。住民票がなくても適用を受けることは可能です。
Q5: 令和6年1月2日以降に対象区域に住むことになった場合はどうなりますか。
A:令和6年1月1日時点で対象区域に住所を有していない相続人には本特例は適用されませんが、家庭裁判所に申立てをすることで熟慮期間を延長することができます。
Q6: 被相続人が被災者である場合や相続の対象財産が対象区域にある場合にも特例は適用されますか。
A:相続人が令和6年1月1日に対象区域に住所を有していれば特例が適用されます。
Q7: 相続人が未成年者や成年被後見人の場合はどうなりますか。
A:相続人が未成年者や成年被後見人である場合は、その法定代理人の住所によって判断されます。
Q8: 複数の相続人の一部が対象区域に住んでいた場合はどうなりますか。
A:相続人が複数いる場合、令和6年1月1日に対象区域に住所を有していた相続人だけに特例が適用されます。
Q9: 令和6年9月30日までに決められない場合はどうすればいいですか。
A:家庭裁判所に熟慮期間の伸長の申立てをすることが必要です。
Q10: 申立てをしないまま令和6年9月30日が経過した場合はどうなりますか。
A:相続放棄または限定承認をしなかった場合、単純承認をしたものとみなされます。
Q11: 相続について問い合わせをしたい場合はどうすればいいですか。
A:法テラス災害ダイヤル(0120-078309)をご利用ください。
