青森県では年末年始にかけて記録的な大雪が降り、県は12年ぶりに豪雪対策本部を設置する事態となった。この異常な大雪の背景には、「線状降雪帯」と地球温暖化が関係していると専門家は指摘している。
積雪量が平年の3倍超え、生活に大きな影響
気象庁の発表によれば、1月5日午前7時時点での積雪量は青森市で139センチ、弘前市で111センチと、津軽地方を中心に平年の3倍を超える積雪が観測された。この大雪により、市内の生活道路の除雪が追いつかず、交通渋滞や生活への影響が深刻化している。
雪が降りやすい地形に「線状降雪帯」が加わる
青森市はもともと雪が降りやすい地形として知られる。北西から吹く風と南西の風が八甲田山系でぶつかり、上昇気流が発生。これにより、上空で冷却された水蒸気が氷粒となり雪雲を形成しやすい。
今回の記録的大雪では、さらに「線状降雪帯」の発達が影響したとされる。三重大学の立花義裕教授によれば、極東ロシアの東南端付近から形成された雪雲が青森県へ流れ込み、大量の雪をもたらしているという。
地球温暖化による影響が指摘される
立花教授は、今回の「線状降雪帯」の形成には地球温暖化が大きく関係していると指摘する。その主な原因は以下の二つだ。
- 海面水温の上昇
夏場の猛暑の影響で日本海の水温が平年より約3度高い地点があり、冬でも海からの水蒸気が大量に発生している。 - 北極の寒気の南下
北極から分裂した寒気が極東ロシア付近まで南下し、上空の強い寒気が日本海からの水蒸気を冷却。これが雪雲の発達を助長した。
異常気象への警鐘
青森県内では昨冬、寒気の流れ込みが少なく、雪が少ない状況だった。立花教授は「一度寒気が南下すれば記録的大雪をもたらす極端現象が発生している」とし、地球温暖化による二酸化炭素排出削減の必要性を訴える。「このままでは異常気象が繰り返される」と警鐘を鳴らした。
この記録的大雪は、地球規模の環境問題が地域の気象に与える影響を改めて浮き彫りにしている。
