科学のあり方を問い直す—リサ・グロムリック前AGU会長、「喜び」と包摂の科学を語る

米国地球物理学連合(AGU)前会長の Lisa Graumlich 氏が、ニューオーリンズで開催されたAGU年次大会において、科学コミュニティの変革と包摂をテーマに講演を行った。

本講演は、「Rooted in Joy: Centering Belonging, Accessibility, Justice, Equity, Diversity, and Inclusion(B-A-JEDI)」セッションの一環として実施され、地球・惑星・宇宙科学(EPSS)教育とアウトリーチにおける学術文化の転換が議論された。

グロムリック氏は、若手研究者時代に感じていた疎外感や不安を率直に語り、編集長や王道の研究キャリアとは異なる道を歩みながら、AGU理事として組織戦略の策定に関わってきた経緯を説明した。特に、発見科学と課題解決型科学を同等に位置づける現在のAGU戦略の構築に深く関与した点を強調した。

会長在任中、彼女は基調講演者として、インド出身の作家 Amitav Ghosh 氏を招いた。これは、従来の科学者や宇宙飛行士中心の構成とは異なる、科学を西洋中心主義の枠組みから問い直す試みだった。講演後、書き込みだらけのGhosh氏の著書を手にした参加者が列をなし、作家と対話する光景が広がった。グロムリック氏はこの場面を「科学コミュニティが変わりつつある証」と表現した。

AGUは1919年、米国国立研究評議会によって設立され、50年以上にわたり米国科学アカデミーの非法人組織として運営された後、1972年に独立法人化された。
今回のニューオーリンズ大会では2万件以上の発表が行われ、地球科学分野における世界最大規模の学会としての存在感を示した。

ソン ウォンソ (Ph.D.)
AGU Leadership Development /Governance 委員会委員
JpGU グローバル戦略委員会幹事

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