新年に入り、ベネズエラ情勢を巡る緊張が一段と高まっている。米国司法当局がベネズエラ指導部に対する強硬姿勢を強め、ニコラス・マドゥロの身柄拘束を含む情報が一部で流れた。ただし、当局による正式な逮捕発表は確認されておらず、現時点では強制捜査や圧力強化を示唆する報道が錯綜している段階にとどまる。こうした不透明な状況にもかかわらず、中国政府および親中派とされる世論の反応は際立っており、背景には中国が抱える三つの構造的リスクが浮かび上がる。
第一は、対ベネズエラ巨額債権の不良債権化リスクだ。中国は資源確保と引き換えに、長年にわたり同国へ融資や前払い契約を積み重ねてきた。公表ベースの融資残高は数百億ドル規模とされ、石油利権やインフラ案件を含めた実質的な関与額はさらに大きい。政権交代や暫定体制の発足となれば、過去の契約の正当性が争点化し、債務継承を巡る不確実性が一気に高まる。
第二は、エネルギー安全保障への影響である。ベネズエラ産原油は中国にとって中長期的な供給源の一つだったが、制裁や海上輸送を巡る管理強化が続く中で、安定供給は難しさを増している。代替調達にはコストと時間を要し、原油価格や製造業の収益性に波及する可能性がある。
第三は、南米における地政学的拠点の後退だ。中国はベネズエラを足掛かりに南米での存在感を拡大してきた。体制が不安定化すれば、中国の影響力は縮小し、同地域での戦略的立ち位置は弱まる。これは二国間関係を超え、米中間の影響力競争の文脈で意味を持つ。
現在、中国側で見られる強い警戒感は、こうした経済的損失と戦略的後退への懸念の表れとみられる。ベネズエラの行方は、同国の政治体制にとどまらず、国際秩序の再編にも影響を与え得る局面に入った。米国の次の一手、とりわけドナルド・トランプの対中南米政策の動向は、北京にとって看過できない要素となっている。
