昨今の金融市場では先行き不透明感が広がる中、安定的に資産を増やしたいと考える個人投資家が増えている。一方で、「投資はリスクが高い」「何を選べばいいのか分からない」といった理由から、一歩を踏み出せずにいる初心者も多いのが現状だ。そうしたなか、長期的に堅調な成長が期待される米国の「S&P500」への投資が注目を集めている。さらに日本では、非課税制度である「NISA(少額投資非課税制度)」を活用することで、投資利益にかかる税負担を大幅に軽減できるという。
S&P500とは
S&P500は、米国株式市場に上場する時価総額上位約500社の株価をもとに算出される指数だ。アップル、マイクロソフト、アマゾンといった世界トップクラスの企業群で構成されており、米国経済全体の動向を読み取る指標としても広く利用されている。
証券アナリストの一人は「S&P500は分散効果が高く、歴史的にも右肩上がりの推移が続いてきた。個別株の分析に時間を割けない初心者には適した選択肢だ」と語る。
日本在住者の強い味方「NISA」
NISA(少額投資非課税制度)は、個人の投資促進を目的に日本政府が導入した制度で、一定の投資額までの配当金や売却益が非課税となる仕組みだ。一般NISAと、積立投資に特化した「つみたてNISA」があり、それぞれ対象商品や非課税期間などの違いがある。
「NISA口座でS&P500に連動するETFや投資信託を買い付けると、米国の経済成長によるリターンを狙いながら、節税効果も享受できるのがメリット。特に少額からコツコツ積み立てを行う人には、つみたてNISAが有利だ」と証券会社関係者は強調する。
初めての投資、ここに注目
- 口座開設
まずは証券会社でNISA対応の口座を開設する。NISA枠を使うことで、売却益や配当金にかかる税金(約20%)が非課税になるのは大きな魅力だ。 - S&P500対応の商品を選択
米国株式市場のS&P500を対象とするETFにはSPY、VOO、IVVなどが有名だ。日本の証券会社でも扱っているところが多いので、信託報酬(運用コスト)や取引手数料、分配方針などを比較・検討するとよい。 - 少額から積立投資をスタート
投資初心者の場合、少額で複数回に分けて買い付ける積立投資がリスク分散に有効。相場が下がったタイミングでも買い続けることで、平均取得単価を抑えられる可能性がある。 - 長期保有を前提に運用
S&P500は短期的には上下動があっても、過去の長期推移を見れば上昇トレンドを描いてきた。NISA口座を活用すれば、長期保有で得られる売却益や配当金が非課税になるため、より効率的な資産形成が見込める。
専門家コメント
あるファイナンシャルプランナーは「初心者にとって最大のリスクは、相場の一時的な上下に振り回されて早期に撤退してしまうこと。資産形成は時間を味方につけた長期投資が基本」と指摘する。
また別の証券会社アナリストは「日本在住であればNISAという優位性がある。コスト面や税面で有利になるのだから、積極的に活用してほしい。まずは無理のない範囲でS&P500投資を試し、投資の仕組みを学ぶのが大切だ」とアドバイスする。
「S&P500とNISAの組み合わせは、安定した成長と節税を両立できる有力な選択肢。これから投資を始める方は、ぜひ検討してみる価値があるでしょう」
金融市場の先行きが不透明な時期こそ、計画的に資産を増やすチャンスがあるとされる。NISAを活用したS&P500への分散投資で、今こそ一歩を踏み出してみてはいかがだろうか。
