大阪を拠点に活動する劇団タルオルムが9月4日から6日まで、大阪市浪速区のインディペンデントシアター2ndで第22回本公演「家族戒議」を上演する。
劇団タルオルムは2005年、在日コリアンと日本人の有志によって大阪で結成された。日本語と韓国語を生かした舞台活動を続け、在日コリアンの歴史や家族、社会との関係などを題材に作品を発表してきた。
今回の「家族戒議」は金民樹が作・演出を担当する。1923年9月の千葉を舞台に、関東大震災直後の混乱の中で、軍からの命令を前に究極の選択を迫られる日本人家族の1週間を描く。劇団側は実話をもとにした作品としており、忘れられた記憶と「沈黙の選択」を問いかける内容となっている。
本公演を前に劇団は、出演する是常祐美への稽古場インタビューを公開した。是常にとってタルオルム作品への出演は昨年に続き2回目となる。
前回は在日コリアンを演じたが、今回は日本人女性「とよ」を演じる。
是常は今回の役作りについて、日本人役を演じることを無意識に「理解しやすい」と感じている自分に気付いたと明かした。前回、在日コリアンを演じた際には、自身の役への理解が正しいのかを周囲に確認しながら役を作り上げたという。
一方、今回の作品では「日本人ならどう考えるか」「日本人としてどう振る舞うか」という視点を避けることができず、日本人キャストとしてその精神性や役割を背負って演じる必要性を感じているとした。
是常は「とよ」について、自分が生きる狭い世界の秩序を守ることに強く執着する人物と分析する。家族や地域社会という小さな世界を守るために行動する一方、異なる価値観に触れる機会を持てなかった、時代や環境に翻弄された人物として役を掘り下げているという。
作品については、明確な答えを提示する舞台ではなく、観劇後に観客自身の中で思考や対話が始まる作品だと説明した。
太平洋戦争や歴史的出来事を考える中で、自らも「加害者側に立っているのではないか」という問いを感じることがあるとし、現代社会にも通じる問題として観客に考えるきっかけを届けたいとの考えを示した。
インタビューを担当した姜河那も、是常との対話を通じて作品や役への解釈が深まっていると評価。「とよ」という人物のリアリティと、作品が投げかける問いに注目してほしいとした。
公演は9月4日午後7時、5日午後1時と5時、6日午前11時と午後3時の計5回。
一般料金は前売り4000円、当日4300円。障がい者・学生は前売り3000円、当日3300円で、介助者1人は無料となる。
9月15日からはオンライン配信も実施し、2週間視聴できる。料金は4000円。
関東大震災から100年以上が経過した現在、劇団タルオルムは「家族戒議」を通じ、歴史の中で個人や家族が迫られた選択と、その背後にある沈黙や責任を舞台上から問いかける。
