家賃収入と資産分散に関心 物件価格の上昇、為替変動が判断の分かれ目
円安を背景に、日本の不動産が韓国人投資家の投資先として関心を集めている。ウォンから円に交換する際の条件が改善すれば、同じ円建て価格の物件でもウォン換算の購入負担が軽くなる。家賃収入に加え、将来の売却益や円高による為替差益への期待が、日本の住宅市場に目を向ける動機となっている。
韓国の公共放送KBSが2026年3月、韓国銀行の資料を基に報じたところによると、2025年の海外不動産取得を目的とする送金額は約8800億ウォンと、過去7年間で最大となった。前年より60%以上増加しており、韓国の資産家が海外に投資先を求める動きがうかがえる。ただし、この金額は海外全体への送金額で、日本向け投資だけを示したものではない。
日本への関心を支える要因の一つが、円安による購入時の負担軽減だ。例えば、3000万円の物件を購入する場合、100円=1000ウォンなら物件代金は3億ウォンとなる。100円=900ウォンなら2億7000万ウォンとなり、為替の違いだけで3000万ウォンの差が生じる。いずれも税金や手数料を含まない仮定の計算だが、為替が購入判断に与える影響は小さくない。
KBSは、2026年1月に東京で3000万円の住宅を購入し、賃貸に出している投資家の事例も紹介した。この投資家は家賃収入を得ながら、物件の値上がりと円相場の上昇による利益を期待しているという。日本の不動産を取得する動きには、住宅という実物資産の保有と、円建て資産への分散という二つの側面がある。
一方、韓国人による購入の広がりと、海外居住者全体の取引動向は区別して捉える必要がある。
国土交通省が2026年9月15日に公表した調査では、国外に住所がある買い手による新築マンションの取得割合は、東京都や大阪府、京都府の一部地域で高く、都市の中心部ほど高い傾向が確認された。ただし、その割合は供給されたマンションの構成によっても変動する。国外居住者による中古マンション取得については、直近で増加している傾向は特に見られなかった。海外からの需要を、日本の不動産市場全体に一様に広がる購入熱とみなすことはできない。
円安による割安感にも限界がある。購入時にウォン換算の負担が軽くなっても、円建ての物件価格そのものが上がれば、その効果は縮小する。三井住友銀行の不動産業界に関する報告は、建築費の高騰に伴うマンション販売価格の上昇と、東京23区の好立地物件に対する国内外の富裕層の需要を指摘している。円安だけを根拠に、都心の住宅を割安と判断することは難しい。
購入後の収益も為替に左右される。円高になれば、円で受け取る家賃や売却代金のウォン換算額は増える。反対に円安が進めば、円建てで同じ金額を受け取っても、ウォン換算の収入は減る。購入時に有利に働いた為替が、保有中や売却時には収益を押し下げる可能性がある。
さらに、家賃収入の全額が利益になるわけではない。管理や修繕にかかる費用、空室期間、税負担などを踏まえた収支の確認が必要となる。KBSも、日本の不動産投資を巡る課題として、現地の法律や税金、賃貸管理を挙げている。
円安は、韓国人投資家にとって日本の不動産を検討する入り口となっている。ただ、購入時の為替条件と、長期保有で得られる収益は別の問題だ。関心が実際の投資成果につながるかどうかは、物件価格、賃貸需要、維持費、そして売却時の為替を含めた判断にかかっている。

