日本サッカー界で「アジアの壁」と称された元日本代表主将の井原正巳氏と、北朝鮮代表としてワールドカップに出場した安英学(アン・ヨンハ)氏が、11月8日に東京都世田谷区の成城大学で開催される国際シンポジウムに登壇する。

今回のシンポジウムは「サッカーは誰のものなのか?―資本・ジェンダー・国家―(Whose Football Is It? Capital, Gender, and the Nation)」をテーマに、成城大学スポーツとジェンダー平等国際研究センター(SGE)が主催する。

サッカーを単なるスポーツ競技として捉えるのではなく、国家、社会、ジェンダー、資本、そして個人のアイデンティティとの関係から考察する学術イベントとなる。

午後2時15分から3時45分まで行われる第3部では、「代表すること、帰属すること―サッカーと国家のあいだで」をテーマに、井原氏、安氏、成城大学の山本敦久教授が登壇する。

井原氏は日本代表の中心選手として長年活躍し、1998年フランスワールドカップでは日本の初出場を支えた。優れた守備力と統率力から「アジアの壁」と呼ばれ、日本サッカーの国際的な発展を象徴する選手の一人として知られている。

一方、安氏は在日コリアンのサッカー選手として日本のJリーグで活躍するとともに、北朝鮮代表として2010年南アフリカワールドカップに出場した経歴を持つ。

異なる代表チームのユニフォームを着て国際舞台で戦ってきた両氏が、国家を代表することの意味や、サッカー選手としての帰属意識についてどのような経験を語るのか、注目される。

特に安氏の歩みは、在日コリアンのアイデンティティや国籍、スポーツと社会の関係を考えるうえでも重要な視点を提供する。

安氏は今回の登壇について、自身のSNSで井原氏との再会に対する喜びを表明した。

井原氏について「子どもの頃から見ていた憧れのサッカー選手」と振り返り、柏レイソル時代には選手とコーチという関係でも大変世話になったと紹介した。

さらに、尊敬する井原氏と再び顔を合わせ、サッカーをテーマに語り合えることを大きな喜びとし、登壇の機会を設けた山本教授への感謝を示した。

また、シンポジウムが参加者にとって未来につながる有意義な時間になることへの期待も寄せた。

今回のシンポジウムが問いかけるのは、サッカーが誰のために存在し、誰によって支えられ、誰を代表するものなのかという根源的な問題だ。

現代のサッカーは、巨大な商業資本が動く国際的な産業である一方、国民的な誇りや地域社会との結びつき、民族的・文化的なアイデンティティを表現する場でもある。

代表チームのユニフォームを着ることが持つ意味は、選手の生い立ちや国籍、社会的背景によっても異なる。

日本代表と北朝鮮代表という異なる立場で国際舞台を経験した両氏の対話は、スポーツと国家の関係を多角的に考える機会となりそうだ。

シンポジウムは11月8日(日)、成城大学8号館ラウンジ(Lounge #08)で開催される。第3部の時間は午後2時15分から3時45分まで。山本敦久教授がセッションオーガナイザーを務める。

スポーツを通じて国境や文化、社会的な境界をどのように捉えるべきか。日本と朝鮮半島のサッカー史にも関わる二人の元代表選手の言葉が、学術的な議論に新たな視点をもたらすことが期待される。

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