2026年10月23日|日韓政策比較
韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領と日本の高市早苗首相は、ともに不動産市場の安定を重要な政策課題としている。しかし、両政権が直面する住宅問題の構造と政策手法には明確な違いがある。
李政権はソウル首都圏の住宅価格高騰を抑え、投機的な資金流入を制限しながら住宅供給を拡大する方針を掲げる。一方、高市政権では、外国人による土地・マンション取得の透明性確保や安全保障上の土地管理が重要な政策課題となっている。
両国の違いは、単なる不動産価格対策にとどまらない。韓国では住宅価格が家計債務や資産格差、若年層の住宅取得に直結する一方、日本では東京都心の価格上昇と地方の人口減少、空き家問題が同時に存在する。
韓国・李在明政権、融資規制と住宅供給の両面から介入
李在明政権の不動産政策は、投機需要の抑制と実需者向け住宅供給の拡大を柱としている。
韓国政府は住宅ローン規制を強化し、投資目的の住宅購入に対する金融面の制約を設けてきた。土地取引許可区域の活用などを通じて過熱した市場を安定させることも重視している。
同時に、住宅供給不足が価格高騰の根本的な要因の一つであるとの認識から、新都市開発や公共住宅建設の加速を進めている。
李大統領は10月20日、仁川市の桂陽公共住宅地区を訪問し、第3期新都市の住宅供給を早めるため、土地開発方式の見直しや行政手続きの短縮を指示した。
韓国土地住宅公社(LH)による供給拡大に加え、容積率の引き上げや金融支援の強化も検討されている。
李大統領は住宅政策について、単なる建設計画の発表ではなく、実際の着工と入居が重要だとの認識を示している。
ただし、規制を強化してもソウルのマンション価格上昇は続いており、政府の市場介入が十分な成果を上げているとは言い切れない状況だ。
日本・高市政権、外国人の土地取得と安全保障を重視
一方、高市政権の不動産政策で韓国と異なる特徴は、土地所有の透明性と安全保障の問題が前面に出ていることである。
自民党の外国人政策本部は10月1日、外国人による土地取得などに関する提言を高市首相に提出した。
提言には、重要土地等調査法の改正、安全保障上重要な土地の取得ルールの整備、土地利用制度の見直しなどが盛り込まれた。
外国人によるマンション取得についても、投機的取引を抑制するため、税制措置を含む総合的な対応を求めている。
もっとも、これらは自民党の提言段階の内容を含んでおり、すべてが政府の正式な制度として施行されたわけではない。
日本でも東京都心のマンション価格高騰が深刻化しているが、韓国のように全国的な住宅ローン規制を不動産政策の中心に据える構造とは異なる。
日本の住宅政策では、住宅取得支援、省エネルギー住宅の普及、既存住宅の活用、空き家対策なども重要な位置を占めている。ただし、これらの多くは高市政権以前から続く政策であり、高市首相独自の新政策とは区別する必要がある。
両国の不動産政策、5つの違い
| 比較項目 | 李在明政権(韓国) | 高市早苗政権(日本) |
|---|---|---|
| 主要課題 | 住宅価格高騰と投機抑制 | 都市部の価格高騰、土地管理 |
| 政策手法 | 融資規制、供給拡大 | 既存住宅政策、土地取得ルールの見直し |
| 税制 | 投機・資産課税の適正化 | 外国人の投機的取得への税制対応を検討 |
| 住宅供給 | 公共主導の新都市開発加速 | 民間供給、既存住宅活用、空き家対策 |
| 外国人取得 | 国籍より投機・取引規制が中心 | 外国人取得の透明性と安全保障を重視 |
韓国は住宅価格、日本は地域間格差という構造問題
両国の政策の違いを理解するには、不動産市場の構造を比較する必要がある。
韓国ではソウル首都圏への人口、教育、雇用、資産の集中が強く、住宅価格の上昇が若年層の結婚や出産、家計負担に影響している。
住宅価格が上昇すれば、持ち家を保有する世帯と保有しない世帯の資産格差も拡大する。
そのため李政権にとって、不動産市場の安定は経済政策であると同時に、社会的公平性を確保するための政策でもある。
これに対して日本は、東京など一部の都市部でマンション価格が上昇する一方、地方では人口減少と空き家の増加が続いている。
住宅不足が問題となる地域と、住宅の余剰が問題となる地域が共存する点が韓国との大きな違いである。
高市政権が土地取得や安全保障上の管理を重視する背景には、こうした日本固有の事情に加え、外国資本による不動産取得に対する社会的関心の高まりがある。
不動産市場への国家介入、その目的も異なる
李政権は住宅を投機対象としてだけではなく、国民の居住基盤として位置付ける姿勢を強調している。
一方、高市政権の土地政策では、私有財産権や市場取引との調整に加え、国土の適正な利用や安全保障上の利益をどう守るかが重要な論点となっている。
ただし、韓国が全面的な国家統制を目指し、日本が完全な自由市場を維持しているという単純な対立ではない。
韓国も民間住宅供給や金融支援を活用しており、日本も土地利用規制や税制によって不動産市場に介入している。
違いは、政策介入の強弱だけでなく、何を優先して規制するかにある。
住宅政策の成否、国民の負担軽減が共通の課題
李在明政権は、住宅価格の安定と供給拡大を同時に実現しなければならない。過度な融資規制は実需者の住宅取得まで難しくする可能性があり、供給拡大には建設期間や財源確保の問題が伴う。
高市政権も、外国人の土地取得に対する規制を強化するだけでは、都市部の住宅価格高騰や地方の空き家問題を解決できない。
外国人投資の透明性確保と市場の健全性を維持しながら、住宅を必要とする人々が適切な価格で住まいを確保できる環境を整える必要がある。
2026年10月時点で両政権の方向性を比較すれば、李在明政権は「住宅価格の安定と投機抑制」、高市早苗政権は「土地取引の適正化と安全保障」に相対的な重点を置いていると整理できる。
もっとも、両国とも政策の効果はまだ検証の途上にある。最終的に問われるのは、規制の厳しさではなく、国民の住宅負担をどこまで軽減できるかという点だ。

