戦前の朝鮮独立運動家、尹奉吉の追悼記念館が石川県金沢市本町2丁目に計画されている件について、在日本大韓民国民団中央本部(民団中央、東京)は4日までに「到底賛同できない」とする金利中団長名の談話を公表した。民団が同構想に明確な反対姿勢を示すのは初めて。
民団中央は4日、自団体のホームページを通じて談話を掲載。談話では「地域の理解を得ずに計画が進められ、日本及び韓国同胞の生活に不便と不安をもたらしていることは、憂慮に堪えない」と指摘。さらに「民団は一切関与しておらず、韓日両国の平和と安寧、日本地域社会の発展を目指す」との立場を示した。
現地では住民の反発が強まっている。芳斉地区町会連合会は3月27日の会議で計画への対応を協議し、有志の形で中止を求める要望書を3日、建物所有者の都内企業宛てに送付した。「芳斉地区と尹奉吉は縁がなく、記念館開設は遺憾」と記されている。町会連合会は22日の総会で改めて対応を検討する予定。
一部保守系団体は「尹は日本人を殺傷したテロリスト」と批判し、開設中止を求めて街宣活動を展開。3月30日には全国から街宣車約80台が金沢に集まり、騒然となった。
この記念館計画を主導するのは、韓国の公共放送KBS元客員研究員である金光萬氏(70)。本人は「追悼記念館ではなく、北陸と韓国の歴史を紹介する施設」と説明しており、当初予定の4月29日の開館は延期するものの、中止の意向はないと明言している。
尹奉吉は1908年生まれ。1932年4月29日、中国・上海での日本軍主催の天皇誕生日記念式典に爆弾を投げ込み、日本軍の高官を殺傷。その後、旧陸軍第9師団のあった金沢に連行され、同年12月19日に三小牛で銃殺された。金沢の野田山には尹の記念碑がある。
