コナン効果で野辺山に復活の兆し 劇場版人気で聖地巡礼3.5倍に急増

劇場版『名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)』の舞台となった国立天文台「野辺山宇宙電波観測所」(長野県南牧村)が、“聖地巡礼”を目的としたファンの訪問で活況を呈している。映画公開からわずか2週間で観測所の来場者数は前年比3.5倍、平日ベースでは10倍に増加し、長らく財政難に悩まされてきた施設にとって久々の追い風となっている。

標高1350メートルに位置する野辺山観測所は、1982年に開所され、世界最大級の「45メートル電波望遠鏡」を擁する日本有数の天文施設。1994年には世界で初めてブラックホールの存在を実証する成果を挙げ、2020年のノーベル物理学賞受賞者の研究にも貢献した実績を持つ。しかし、近年は国の交付金削減と施設の老朽化により存続の危機が取り沙汰されていた。

だが今回の劇場版での登場を契機に観測所は一転、活況を呈している。映画で物語の鍵を握る重要な舞台として描かれた「45メートル望遠鏡」がファンの注目を集め、観測所の西村淳所長(39)は「これほど多くの人が訪れるとは思わなかった。まさに劇的な出来事」と語る。見学ツアーではコナンの象徴でもある赤い蝶ネクタイ姿でガイドを務めるなど、演出にも工夫が凝らされている。

観測所では映画公開に合わせて支援基金を立ち上げたところ、すでに100件以上の申込みがあり、今後は映画とコラボしたTシャツ販売も予定。西村所長は「いただいた支援は開発費にあて、現状維持ではなく“攻めの体制”に使いたい」と意欲を示す。

また、今回の映画が子どもたちに天文学への関心を抱かせる契機になることへの期待も大きい。「将来、ここを訪れた子どもが研究者となって、さらに新しい宇宙の謎を解き明かすかもしれない」と語り、「ノーベル賞につながる発見も夢ではない」と希望を口にした。

映画の舞台となった長野県内では、長野県民ホールで原作者・青山剛昌氏の直筆色紙などを展示した特設コーナーが設けられ、1日1000人以上が訪れる盛況ぶり。さらに作中で登場する長野県庁の食堂も観光客の新たなスポットになっている。

また、劇中に登場する長野県警にちなみ、県内の映画館では上映前に警察官募集CMが流れており、SNSでも話題となっている。県警は今月下旬から募集開始を予定しており、「コナンCMを機に応募が増えることを期待している」とコメントした。

なお、劇場版『名探偵コナン』シリーズは毎年その舞台となった地域が注目を集める。昨年の『100万ドルの五稜星』では北海道函館市、2023年の『黒鉄の魚影』では東京都八丈島、2017年の『から紅の恋歌』では大阪と京都が聖地巡礼の対象地となった。

今回の「コナン効果」が、科学の現場にも恩恵をもたらしている。子どもたちの夢と研究者の希望が交差する野辺山に、再び光が差し込もうとしている。

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