自治体の「貯金」にあたる財政調整基金が減少し、財政危機に直面する市町村が目立っている。老朽化した公共施設の維持管理費や高齢化による福祉費の増加が主因で、各地で住民サービス削減の動きが広がる。一方で、全国の基金総額は増加傾向にあり、自治体の財政見通しの甘さを指摘する声も出ている。
愛媛県西部の西予市では2018年度以降、ほぼ毎年収支不足が続く。穴埋めのため財政調整基金を取り崩した結果、2016年度末に48億円以上あった残高は2025年度当初で3億円を下回る水準まで減少した。
管家一夫市長は2月の市議会で「財政改革を着実に実行し、できるだけ早く黒字体質への転換を図る」と表明。市は2026~28年度にかけて「財政危機脱却プラン」を実施する。市内91か所の公園を約6割削減し38か所に統合するほか、20ある体育館を8施設に減らすなどして、約16億円の支出削減を目指す。計画の実施により基金残高は2026年4月に約10億円まで回復する見通しとしている。
財政悪化の背景には「平成の大合併」の影響もある。西予市は2004年、五つの町が合併して誕生した。合併後10年を過ぎた2015年度以降、地方交付税の優遇措置が縮小した一方、旧町から引き継いだ多数の公共施設が財政負担となった。2021年度末時点で市が抱える施設は約700にのぼり、維持管理や更新費は今後40年間で年平均60億円近くと試算されている。市の一般会計の約5分の1に相当する規模だ。
管家市長は2025年12月の市議会で「危機意識が不十分で、市民に多大な負担と心配をかける事態を招いた」と陳謝している。
財政難に直面する自治体では、施設統廃合に加え、学校給食の開始延期や役所窓口の受付時間短縮など住民サービスの見直しも進む。ただ、サービス削減には住民の反発も強く、「市政の失敗を市民に押しつけるのか」との批判も出ている。
総務省の統計では、市区町村全体の基金残高は近年むしろ増加傾向にある。自治体間で財政状況の格差が広がる中、人口減少や施設老朽化が進む地方自治体の財政運営のあり方が問われている。
