AI時代を迎え、大学教員の役割が明確に変化している。知識や情報が溢れ、瞬時にそれを提供するツールが数多くある現状において、教員が単に知識を伝達するだけではその存在価値を証明できない時代になった。これからの大学教員の最大の課題は、学生が授業時間内に集中し、深く没入し、自ら主体的に知識を習得できる環境をいかに設計するかにある。
大学の授業時間は通常、1学期14回の場合は100分、15回の場合は90分となっている。スマートフォンの短時間動画や即時的な刺激に慣れ親しんだ現代の学生にとって、この90分間という時間を集中して過ごすことはほぼ不可能に近い。率直に言えば、大人であってもそれほど長い時間を集中し続けることは容易ではない。こうした状況で、学生にスマホを見るな、他のことをするなと強要する方法はもはや効果的ではない。一方で、学生が自由に関係ないことをして授業を漫然と過ごすのを放置するわけにもいかない。
このジレンマを解決するために私が最近導入している方法がある。それは、すべての学生にタブレットやノートパソコンを持参させ、常に電源を入れさせて授業を進めるというものだ。授業中に学生が知らない単語や地名、概念が出てきた場合、即座にそれを自分の端末で検索してリアルタイムで内容を共有させる。当初、学生は戸惑うが、この行動を数回繰り返すうちに自然とそれが習慣化していく。
この方法の最大の利点は、授業中の学生の散漫さを根本的に減らすことだ。授業では新しい概念や用語が頻繁に登場し、それらを見逃したり放置すると授業全体への理解が追いつかなくなる。しかし授業の途中ですぐに検索し共有することで、学生には注意散漫になる余地がなくなり、常に授業内容に集中し続けることが可能になる。
さらにこの授業方法は、学生の学習習慣そのものを改善する効果がある。通常、学生は疑問を感じても「後で調べよう」と先延ばしにしがちだが、授業中に即座に疑問を解消する経験を繰り返すことで、授業外でも疑問が生じた瞬間に自ら調べる習慣が身につくようになる。これは単に私の授業内の変化にとどまらず、学生全般の学習姿勢そのものを変えることにつながっている。
また、AIの普及により学生の課題への取り組み方にも変化が見られる。課題を出すと多くの学生がAIツールで内容を作成することが増えた。私はこれを禁止せず、むしろ積極的に活用するよう指導している。ただし、AIが生成した文章をそのまま提出するのではなく、必ず自分の言葉に再構成し、それを口頭で発表させるようにしている。コピーした文章では、発表時に理解不足がすぐに露呈する。自分で内容を完全に理解していなければ、自然に説明することができないからだ。この過程を通じて、学生は真の意味での学習を体感する。
AIの進化に伴い、教員も授業方法を絶えず見直し、新しい教育の設計に挑戦する必要がある。これからの教員は知識を伝える存在ではなく、学生が主体的に探求し、自ら成長するための環境を設計する案内人となるべきだ。AI時代にこそ、学生が真に集中し探求する習慣を身につけられる授業を作ることが、我々教員の最も重要な役割である。
ソン ウォンソ(Wonsuh Song, Ph.D.)
秀明大学 専任講師 / NKNGO Forum 代表

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